蠅の女王

小倉涌 画家 美術家 アーティスト 歴史画

アート関連の言葉の耐えられない軽さ

 先日電車でぼんやりツイート眺めていたら、こんなnote記事が流れてきたんじゃ。
www.evernote.com


 アートあるあるでしかも良記事なんで、これは向かい合ってみないわけにはいかなかった。原文記事にて言及されてた他の記事、映画もチェックしてみた。

 【意訳】アート関連の理解不能な文章、よくないよね より

全ての専門分野には、この手の意味不明な専門用語がかたちを変えて存在している。
非常にわかり難い、気取った言い回しの、排他的かつ無意味なことば。
まるで招待客に説明しないまま内輪ネタを話し続ける、最悪なパーティーの主催者のようだ。


だがアートの世界の隠語、通称 インターナショナル・アート・イングリッシュ(略してIAE)はすぐには無くないようだ。
この呼称を命名したライターのアリックス・ルールとデイヴィッド・レヴィーンは、IAEの白痴を指摘する大胆なエッセイをトリプル・キャノピーに掲載した。
だがそれは2012年の話だ。この6年間で批評家やコピーライターたちはその方向性を変える姿勢を見せてきたのだろうか。少なくとも私は気づかなかった。


 言うまでも無いが、アート界の難解な言い回しのほとんどが、専門用語ですらないし、プレリリースが難解な文章であったならそれは、単なる飾り、作品の引き立て役を担っているだけだと理解すればいい。記事は英語圏でのアートワールドについて書いてあるが、日本の日本語文においても状況そっくりそのまま移植されてる。最近では、科学をテーマにした企画展で、難解さを着飾ったステートメントに出会うことがあった。
 実例を示せたらいいけども。科学テーマの場合、私が指摘するには充分な知識が無いのでdis止まりとならざるをえない。


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サイエンスアート今から観るだ
17:07 - 2018年10月8日

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ギャラリーだったので無料じゃった。バイオアートがテーマなのかな。ロバート・スミッソンの出展があるから何かなと思ってたら、小さいシンプルな写真1点だった(アート展あるある) なんかひねりが無いというか、NHKスペシャルの二番煎じのようで、そこはマンガや小説と違ってアートの限界を感じた
18:45 - 2018年10月8日

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ETVで見る海外ドキュメンタリーテレビとかそういうので観たようなアイディアで、数十年先まで残す作品として制作されてないんだなというのは分かるので、
まあ、一人で考えて作る限界でもあるし
19:08 - 2018年10月8日


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サイエンスアートは、アーティスト一人で一つの作品やるより、それこそドラマの脚本チームみたいに、構想練れる人4〜5人で共同制作した方が良いかもね、分からんけどな。
19:13 - 2018年10月8日

 作品が持つ内容と、ステートメントによって示したいと願ってる規模の釣り合いが取れてないのを言ったのだが、フーコーについて改めて百科事典的な説明をしてみたからといって作品の評価にどう関係してくるのだろう?基本的によく知らないことを扱う際は非常に多くの準備が要るものだと考える規範が、やはり美術界全体には昔から無いのだと思う。

 「政治」をテーマにした作品においても、文節ごと、選択された単語ごとに引っかかってしょうがなく、「関東の芸人が使う変なイントネーションの大阪弁」を聞いてるような、居心地の悪い思いをすることがある。そこでは「近代」とか「システム」とか「権力」といった何の専門用語でも無い単語でであっても、その言葉の歴史的思想的背景はあまりに膨大で、それを勝手なおもちゃのように簡単に散りばめてるのを見るが、美術館での企画の場合は誰がそれを許して通してるのか、昔からの謎であった。美術修復と作品保存と厳密な空間展示に関しては日本の美術館は本当に素晴らしいのだが、作家やキュレーターが書いてきた文章や言葉に対しては恐ろしくアバウトになる世界なのである。


 そんな美術館企画での謎状況が再現された映画がある。上のnote記事にて紹介されていた2017年製作の映画である。
www.transformer.co.jp
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 舞台はスウェーデンの王立美術館。作中で、学芸員たちを前にして若い二人組の映像作家が企画プレゼンを行うのだが、この内容がいかにもあるあるで、良くリサーチされて書いた脚本だと思う。長いが、以下に引用してみる。下線をした箇所は、もし私がその場でプレゼン聞いてたら「これは聞くに値しない」「何も考えてない地雷臭すごい」と感じる言い回し・言葉である。文節ごと、選択された単語ごとに引っかかる、絶妙なリアルさのあるあるある再現であった。


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「今回のプロジェクトは、話題性が抜群で、人道的議論も呼び起こす催しです。ただ問題は、メディアの雑音にどう対処するか、どう鎮めるか
ライバルは他の美術家ではなく、自然災害とかテロリズムとか極右政治家の言動なのです。それを頭に入れて聞いてくださいね。」

話始めののっけから、このエクスキューズがくる。

「私たちが提案するのは「動くメディア」です。動画制作の際に考慮すべき点は、人の注意力が長く続かないということ。」

このエクスキューズ自体が、「この作品の内容」の全てであることを、おのずと示してるようなものである。

「人は2秒再生して面白くないと思えば、次の動画へ移る。遅くとも10秒から15秒間にインパクトのあるシーンを作り、多くの人がシェアすれば、FacebookSNSからタブロイドへとうわさが伝わってきます。バイラル効果を狙うんです。それでは何を取り上げればシェアされ易いのか、市場調査を行いました。」

 ここは全部下線を引きたいが、そうすると読みづらくなるので、もう、下線は無しで引用続ける。市場調査と称して実際は彼らは家で何をしていただけなのか、想像に難くない。しかし、学芸員の中で一番若い人は、彼らを信じている表情をしている。おそらく彼女がこのユニットを推薦したのだろう。ベテランの2人はこの後から不安で顔を曇らせていく。

「一番は、弱者の話です。具体的に言えば女性たちや障害者の人達、人種的な差別を受けてる人。LGBTQの人。こうして挙げるとキリがありませんが、中でも最も多かったのが、物乞いです。そこで、作品の主人公は物乞いにします。大きなインパクトを与えるために、子供を使う。ダメ押しで、美しい金髪を持つ幼い女の子を起用します。典型的なスウェーデンの子を。待って。(学芸員の発言を制止する)」

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「オープニングは王宮の中庭。『ザ・スクエア』も見えます。商品は冒頭から出すのが鉄則だ。『ザ・スクエア』に向かって、夜明けの光が差し込んでくると、四角形が信頼の輝きを放ちます。思いやりや正しい勇気や善意に充ちている。」

ザ・スクエア』というのは、このユニットとは関係のない他の女性アーティストによる新作のインスタレーションである。人の作品を踏み台にするという、これもあるある感に溢れてるw

「そこへ、少女が現れる。体を震わせて、たった1人で泣いている。汚い毛布に身を包み、まるでホームレスのようだ。映像観た人の心をつかむ。少女の衝撃的な映像に目を離せなくなる。少女は震えて、スクエアに入り、ここで意外なことが起こる。『ザ・スクエア』の精神に似つかぬ展開だ。その意外性が話題を呼び、世間の注目を集めれば、美術館がメッセージを伝える上で非常に強固なプラットフォームを作り出すことができます。価値観を提示したり、課題を訴えたりがスムーズにいく。」

少女性を前面に立てて、何か政治的切実さを醸すという視覚芸術あるある。
そこへ顔を曇らせつつベテラン学芸員が話し出すが、どうも作家への切り込みが頼りない。

ベテラン勢:「んー、面白いわ、全く予想外ね。小説みたい。物語がある。それが狙いだから。なるほど。」


若い学芸員:「だけど、意外な展開って?何が起こるのか気になる。内容によると思うんだけど…」


アーティスト:「それが実は、細かい具体的なところまでは未だきちんと詰め切れてなくて。いずれにせよ、少女がスクエアの中で傷つくような展開にするつもりです。」


若い学芸員:「傷つくって、何よ!?どうしてそんな展開になるの!」


アーティスト:「少女が傷つく、それは最も観客を裏切る展開で・・・・」


(ここでチーフキュレーターが登場、実はここでプレゼンが行われてるのをすっかり忘れていた)


ベテラン勢:(アーティストに向かって)「斬新な企画よ、しっかりアピールして!」


チーフキュレーター:(企画書を適当にめくり)「ふん、ふん、これで問題ない」
(そして急ぎの用で部屋を去っていく。明らかに文を読んでない)


ベテランその1:「なんだか、怖いわ…」


アーティスト:「何も怖くない。」


ベテランその2:「えー、世間の反応について心配する必要はない。うちはきちんとした危機管理を行っているからね。あらゆる事態を想定して前もって対策を練ってある。リスク分析は問題無い。動画公開に伴う懸念事項は互いに共有し、対処しよう。」

 しかして彼らが選択した「意外な結末」は、『ザ・スクエア』の中で、少女が子猫とともに爆発死して、次の文言が映し出される。
「どれだけ非人間的な行為が行われたら、あなたの人間性に届くのか?」

 動画は展示作品というより、美術館アカウントのYouTubeにアップロードされる形で、公開数時間で数十万回アクセスを誇り、うまく炎上し、記者会見が行われ、チーフキュレーターは美術館重役に詰められることになる。

「今こそ胸を張って立ち上がるチャンスじゃないのか?我々美術館は規制を恐れずに枠を超えるべきだ。あらゆるタブーを打ち破って、世に問いかけなければ。自由は決して侵してはならないものだ、それが信念だ。自由を守るため、立ち向かうよ、とことんね。」

 それでも「ベビー用品の企業はうちに寄付をするかしら?」と詰められ、チーフからは辞任に追い込まれていく。このチーフキュレーターはこの企画の仕事と同時に、私生活で社会的プライドにかかわる問題が起きて焦っており、その収拾で頭がいっぱいだったため、企画にはまともに取り組んでいなかった。その一方で上のようなスピーチもスラスラ出てくるので、彼の普段の仕事ぶりをも想像させる。


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 「アート関連の理解不能な文章」をしなくなる解決策としては、ミュージアムやジャーナリスト、キュレーターとアーティストも、日頃様々な専門の研究者と付き合いを持つようにして、教えを伺ったり概要を知るための入門書の良書を紹介してもらうといったことしか、私には思いつかない。すると当然、筆と口がどんどん重くなる。言葉少なになる。そこからスタートするしかない。


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余談だが、映画の中盤でショッキングなアートパフォーマンスが行われる。かつてのモダンアートにおける近代志向と野蛮さへの趣向という矛盾を、現代の「リベラリズム」に置き換え。実際には行えない、映画の中でしかできない、悪夢の「アート無罪」が展開される。機会があれば観てください。

ボルタンスキー、高松次郎、マッタ=クラーク、他 -展覧会の感想をTwilogから発掘する(七)

 ボルタンスキー展が6月12日より東京で始まったようで、先月に大阪巡回に行った感想をブログに出してしまおうと思い立った次第。展覧会の感想をTwilogから発掘するシリーズとして、今回は過去のインスタレーションの美術展示でまとめた。

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ボルタンスキー展 (2019年5月5日 大阪国立国際美術館

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会期ギリギリ、
ボルタンスキー展今から観るだ。
12:23 - 2019年5月5日

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期待はずれ、
最も代表的な作品しか知らなかったので、他の仕事観て、代表作から今日まで世界的に有名なアーティストとしてやってこれたのは、運が良かったのかなどと思ったり。
感想はまた明日
21:49 - 2019年5月5日

 敢えて太字にしてみた。
 一応、代表作の概説など

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ボルタンスキー展:80年代の代表作、70年代の作品もあったが、半分以上が2000年代に入ってからのインスタレーション展示。代表作というのは、ナチスによるユダヤ人虐殺をテーマとした「モニュメント」のシリーズで、人物の白黒の肖像写真と電球と黒いコードを組み合わせた作品
21:16 - 2019年5月6日

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ボルタンスキー展:どこまで考えてやってきた作家なのかなということを考えながらずっと観ていた。実物を鑑賞するとどうしても、物のマチエール、その選択のこだわりを見てしまうが、映像ではそこは見えてこない、写真を含め映像映えするところがある。映像だと、デヴィッド・リンチのセットのようだ
21:25 - 2019年5月6日


 モチーフのマチエールへのこだわりが存外に薄い、というのが先ず気になったところ。実物を見ないと、写真で知ってただけだと、そこが見えてこない。それと、モニュメントシリーズで遺影として使われてるポートレート群にしろモチーフにしろ、由来があるのか、実は由来はなくてこのように仕立てたのか、展示やキャプションだけでは分からなないので、もしきちんと批判するならテクストを読まないととは思ったのだが。ポートレートに由来が無かったとしてそれがどう作品評価に繋がるか、逆だとどうか、考えるが、それ以前に作品自体にあまり見所がない。写真映えはするけど、実物では呆気ないものがあった。といって、ブリキの質感をヴィンテージ風に作り込まれても(趣味の世界ならともかく)現代アートとしてはアレなんだよな。何かもっと良いセレクトがあるようなそんな気がする。

 東京巡回が始まってから、こんな批判ツイートも流れてくるようになった。

bijutsutecho.com

 批判通り作品自体は「架空の死者」だったのかどうか、テクスト読まないと分からないが、インタビュー記事読むと、あまりにフワフワしていて、どうフワフワしているか検証するためにフワフワしたテクストを追わないといけないという、私には到底気が進まない作業なので、これ以降も特に何も読まず。(評論やってる人も大変ですよね)


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ボルタンスキー展:物のマチエールへのこだわり、というと1970~71年の、誰かの遺品のようなオブジェ作品。これは撮影不可で、ネットでも無かったので示せないが、古いブリキの保管箱に経年劣化してホコリを被った子供の長靴、食器が安置されている。実際は粘土で作られたとパンフで知ったが
21:41 - 2019年5月6日


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ボルタンスキー展:私には広島の原爆資料館で見た展示品を想起させるもので、戦災などの忌わしさを暗に放つ作品であった
21:45 - 2019年5月6日


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ボルタンスキー展:これはコートの山と、コートを纏った板で簡易に作られた人型のインスタレーション。これも実物よりも写真でこうして見る方がずっとよく見えるな。展覧会で撮影したのはこの展示のみ。全体に照明が暗くされてるから撮影困難だったというのもある
21:49 - 2019年5月6日

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ボルタンスキー展:何がどう、ともすぐ言えないのだが、このインスタのコンセプトのためにもっと完成度の高いところがあったんじゃないか、という印象を持った。
21:57 - 2019年5月6日

 実物観る印象では、これもコートのマチエール(生地、作り)や使われたベニヤに何かこだわりがある風でもなく、映像ではそこまで見えてこないから、これで充分今のネット時代に向いたインスタレーションなのかもしれんが。ただ、マチエールやモチーフにこだわりがないということは、作家がそのテーマにどれほど迫眞してるか、ということだと思うのだが。
 風鈴を沢山立てた屋外でのインスタレーションの映像の展示があったが、これも、どこの国際芸術祭でもいつか見たような、既視感が否めないところがある。

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ボルタンスキー展:1944年生まれということでもうお年召してるから、最近の作品ではこうなるのかなという、どこかの国際美術展で似たものを観たことあるようなそういう印象は否めない
22:32 - 2019年5月6日


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ボルタンスキー展:インスタレーションではよく、敢えてチープな物を組み合わせる作品も世に多いが(段ボールやスポンジたわしやペットボトルなど)、ボルタンスキーの場合、作品に使われる電球の品種と黒い電線にしかこだわりが無いのかな、他の物では敢えてこの質感の製品を使ったという必然性が
22:06 - 2019年5月6日


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ボルタンスキー展:小さい人形にライトを当てた影絵のシリーズは、ちょっとウーンって頭を掻きたくなったり(危ね、脱毛中なのに)。パンフ見ると、もとは教会でドームの内側に投影させた展示だったようで、そりゃそっちの方がはるかに良いだろうよと。
22:11 - 2019年5月6日

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 アーティストの成功ってナンダロー(棒)
 「脱毛中なのに」
 これは、私が抗がん剤で現在無毛状態にあることを言っております。思わず人目憚らず医療帽脱いでグシャグシャ掻きたくなった、と申しております。


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ボルタンスキー展:この『Crépuscule(黄昏)』と題した展示は、ああさすが電球の作家だと思えるインスタレーションで、電球愛を感じるw 無数の電球が床にしかれ、黒い電線の流れから一方方向を目指させてるのが分かる。会期中に少しづつ灯が消されることになっていて、最終日は真っ暗になるのだろう。
22:22 - 2019年5月6日

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ボルタンスキー展:私が行った昨日は、会期終了間際だったから、たった二つの電球だけが灯されていて、他の光らない電球の行き先を導いてるようだった。これは会期終わりに見るのがオススメかも。光ってない沢山の電球が死者の群れのよう。電球の灯の色、大きさもちょうど良い感じw
22:27 - 2019年5月6日

「電球アーティストでした」
この一言に限る。以上。

高松次郎 制作の軌跡(2015年6月 大阪国立国際美術館

www.nmao.go.jp

 これは、私が今までに観た現代アートの美術展でベストに入る展覧会だった。

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国立国際での高松次郎展、観てきた。館での展示の仕方がきれい・良かった。『ネットの弛み』『布の弛み』『ネットの弛み』の三つのインスタ展示は、もうシミジミときた。フーコーの狂気の歴史、監獄の誕生、言葉と物の本装丁も高松さんだったんだね!知らねかったー。あれはシミジミ見た事なかったわ
23:10 - 2015年6月17日

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高松次郎フーコーの本装丁に注目した事は無かったけど、コンパスによる原画は良い抽象だったし、そう思うと監獄の誕生も良い装丁じゃないか!と。
23:12 - 2015年6月17日

監獄の誕生 ― 監視と処罰

監獄の誕生 ― 監視と処罰

 まだ持ってないお。良い装丁デザインだと思う。

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高松次郎:赤ペンキのインスタも、代表作の影のシリーズも、ゴルフボールの絵も、遠近法シリーズも、日常品を使った作品だが、どれもモチーフの選択がベストでよく考え抜かれている。デュシャンの泉のようにビシーッと焦点が合ってる。数学の式のよう、つまりエレガント。
23:18 - 2015年6月17日

 作品の適当な画像がなくてですね、ここは作品集買わないとどうしようもないw
 遠近法のシリーズと称したのは、こういった作品になるのだが。

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高松次郎:「よく考え抜かれてるな〜もはやこうとしかありえないよ」って、それだよ、私がコンセプチュアルアートってのにもとめてるのって。
23:22 - 2015年6月17日

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良いコンセプチュアルて成り立たせるのなかなか無いんだろかなーとか思った。否、んなこたぁ無いよなー。とモニョモニョ。コンセプチュアルの作品に「〜の道具」とかタイトル付けるの、禁止したらどうか。
18:09 - 2015年6月16日

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高松次郎みたいな人が、美大教育ガーとかツイッターで言ったら、ぼかぁほんとガッカリするよ
16:40 - 2015年6月18日


 ん〜、記録はこれだけか。w しかしもう一度タイムトラベルでもして観たい美術展である。


ライアン・ガンダー この翼は飛ぶためのものではない(2017年6月 大阪国立国際美術館

www.nmao.go.jp

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今から観るだ。
14:36 - 2017年6月30日

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全体に、私には評価が難しい。というのも、この作家を実際にとりまく環境・チームガンダーの働き、コラボ、そういったことがアートなのかも知れず、そこまで考えに至るとまた感じることも変わるだろうと思う。観てる間、数年前に観た高松次郎回顧展とずっと比較してしまってたのだが、
9:03 - 2017年7月1日

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高松次郎展の時は、全てのモチーフの選択、手法がピタッと合わさって、それがキチッと合わさったパズルのようで、今まで見た美術展の中でも指折りの印象に残ったものだったが、今回は、敢えて言うと他者に納得させるという表現ではないのね、おそらく
19:10 - 2017年7月1日


 高松次郎展をよく比較対象で引き合いにする私であった。


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タイトルが詩のようになっているから原題の英語で見るように努めたが、例えば
「A sheet of paper on which I was about to draw, as it slipped from my table and feel to the floor」
19:22 - 2017年7月1日

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「Ftt, Ft, Ftt, Fttt, or somewhere between a modern representation of how a contemporary gesture came in to being, an illustration 文字数
19:33 - 2017年7月1日

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英語のタイトルを読んでも、私にとっては必然性を感じない。それがすなわちダメと言うわけにもいかない。しかしデュシャンの「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」といったタイトルやマグリットのタイトルだとススッと入るものがある、これは歴史的な積み重ねもあるがそれだけでもない
19:40 - 2017年7月1日

 ガラス玉を沢山置くインスタレーション、これまで生きてて、何度出くわしたことかな。またこのパターンかと思わされる。何処かでいつか観てきたような。ちなみにこの矢のインスタレーション、実際にボウガンで撃ってたら面白い展示になってたと思うが、接着されてるだけで。


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「想像をどんどん膨らませること」が作家の基本コンセプトになっているが、それでも、想像の問題だったとしても、私の好きな歌人たちの詩の、ギュッと凝縮した瞬間の感じとも違う
19:45 - 2017年7月1日

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矢の作品も、ボウガンで実際に撃って刺さってたら面白いんじゃないかと思ってしまったが、接着剤等で一本一本設置されてる。ボウガンで撃たなかった事自体にコンセプトがあるのかどうか。(16番)
20:27 - 2017年7月1日

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私は、芸術、アートは自由だ、とはあまり思ってないのだ。他人に多大な迷惑さえかけなければ自由だ、という意味では自由なんだが、可能性があるということとただ単に自由というのはまた違う
20:48 - 2017年7月1日  



ゴードン・マッタ=クラーク展(2018年6月 東京国立近代美術館

www.momat.go.jp


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今から観るだ
12:22 - 2018年6月27日

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寝不足のため、半分居眠りしながら観てる
15:36 - 2018年6月27日

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浅田彰さんと遭遇したので目が覚めた
15:36 - 2018年6月27日


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マッタ=クラーク展:「期待してたけどやはりこうなるか」という展示。(多分誰も悪くないよ)映像と写真が主になる。
この写真は、ニューヨークMoMAで観たマッタ=クラークの展示。実際の家から切り出して平面みたいに設置してしまうのねん、この大雑把な乱暴さが、イカすところんだが
22:27 - 2018年6月27日

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マッタ=クラーク展:大きいのは多分移動出来んしな、しゃあない。大きなプロジェクトとしてのアートが、まあ何というか、花開いてた時代の作家。アースアートとかね
22:31 - 2018年6月27日


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マッタ=クラーク展:1971年の、樹上生活するプロジェクトのキャプションがヒドくて、思わず書き写してしまった。()内は私の声
「重力とせめぎ合いながら」
(せめぎ合ってない)
「刻々と新たな時間が生じてる」
(生じてない)
「新たな生活空間が示唆されてる」
(示唆されてない)
22:50 - 2018年6月27日

 現代アートのキャプションの文章がよくアレな件

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「マッタ=クラークはのちに近代建築を“問題解決“に失敗しただけでなく、家というレベルでも制度というレベルでも、非人間化された状態を作り出した」
一時期「近代建築」について、こう見立てるのが確かに流行った時代はあったな。今、誰もピンとこないじゃろ。
22:54 - 2018年6月27日


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マッタ=クラーク展:ブツの展示は、これ。小さな屋根の部分。この「ぶった切ってオブジェにしたった」という素朴な乱暴さが、グッとくる
22:37 - 2018年6月27日

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マッタ=クラーク展:「家切り取ってオブジェ」シリーズは、まあ最近散々話題にしてた「形式主義」にも位置付けられるのかいなと。
家もそうだが、↓これも自然に出来た層に成るオブジェと化してる。自然に出来た層というのが、それだけで佇まいを見せるのよな
22:43 - 2018年6月27日


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よう知らんけどな。ここでも見てくれ
"グリーンバーグなど読書メモ - Togetter"
togetter.com
22:45 - 2018年6月27日

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マッタ=クラーク展:この建物の壁を切り取って、四つスリットに切り取っただけの平面作品、これはなかなかグッときた。経年の層の積み重ねがスリットから見えてくるという。
23:01 - 2018年6月27日

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PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015 (2015年4月 京都市立美術館、他)

parasophia.jp


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パラソフィア:先4/1,4/3、市美術館、森村さん、崇仁野外展示だけ廻れた。浅田彰さんのレビューがあり http://realkyoto.jp/review/parasophia2015/
「浅田さんのツンデレじゃないの」との意見もあったが、行った範囲ではどうもここに書かれたような感想を私も抱いた。他所も改めて行くが
17:28 - 2015年4月4日


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映像作品が多い事自体は、一昨年国立国際であった『WHAT WE SEE 夢か、現つか、幻か』展では、出展作がどれも見応えがあって、何回でも行きたくなったものだ。http://goo.gl/ipSRAx http://goo.gl/aBKbxy パラソフィアでは、正直それほどでも…
内容さえ良ければ、60分超が何本も、とかでも嬉々として行きますよね
17:30 - 2015年4月4日


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映像では中でも、石橋義正さんのダンスの映像が大変良かった。多分ドローンカメラを飛ばし、踊り手を俯瞰でずっと追っての長回し撮影。カメラワークがきちっと計算されてあり、どうやって制作したんだろうと舌を巻く。
17:34 - 2015年4月4日

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ただ、その前のドールとかファッションモデルの人のは、要るのかどうか、謎であったw このダンスの作品だけで充分素晴らしいじゃないか。撮影場所は多分、下鴨だと思うが、下鴨での出展とコラボになってるのか、未だ行ってないから分らんけど
17:35 - 2015年4月4日


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この法廷と枯山水とを併せた作品が印象に残ってる。倉智敬子さんと高橋悟さん。カフカについてまで考えられてるかは分らないが、法廷や法での「抽象性」を表現するのに枯山水の庭に見立ててるんだろうと思われ。
20:24 - 2015年4月4日

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イタリアや南米などマフィア犯罪が多い外国で見られる、監獄のある法廷内。最後列が鏡で、被告になってしまった鑑賞者が写ると。判事のハンマーがししおどしとして時々鳴らされる。
20:26 - 2015年4月4日

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 この法廷の作品は、記憶にずっと残る良い作品だった。


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崇仁地区の野外展示。ジェントリフィケーションの文化行政が始まるそう。空き地が虫食い状に出来てしまって、開発が滞ってるのか、そういった地域。その空き地を利用して、「行政による不法占拠を防ぐ網」に囲われてる中でインスタが置かれてる。
20:31 - 2015年4月4日

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という状況自体が面白い。という作品。崇仁地区で団地や住宅の中で取り残されてるぼっちなアート、という状態がどうも面白いわけです。(中の展示がというより
20:32 - 2015年4月4日

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PARASOPHIA2015、他にもつぶやいてたのだが、良かった作品だけここに上げておくことに。
今回はこれにて。

展覧会の感想をTwilogから発掘する(六.五)藤田嗣治展

今年のシメに、今年行った美術展をいくつかピックアップしておく。その2

没後50年 藤田嗣治展 (2018年10月 東京都美術館

www.tobikan.jp
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藤田嗣治回顧展の感想をボチボチと連投。
藤田の父親がソウルで軍の偉いさんだったのだが、26歳、渡仏する直前にソウルへ行って、オーソドックスな画風で田舎の油彩風景を描いていた。藝大時代よりもグッと明るい仕上がりにしていて、絵の具を濁らせず、影部も黒や土系の絵の具をあまり使ってなかった
2018年10月10日

1913年 『朝鮮風景』

この風景画、何の変哲も無いけど、のちのキュビズム時代よりも丁寧に描かれている。藝大でどう教わってたのか一端を知るような感じだった。よく言われる「黒田清輝が誤った油彩画を教えて云々」の特徴が、この絵には現れていない。


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乳白色の時代ごろになると使う色数をかなり抑えるようになるが、この時はとりあえず色は沢山使ってて、うるさいと思えるほどではないけど。この後、27歳でキュビズム時代に入ると色が濁り出して、乳白色に墨の時代に突入する直前まで色は暗かったり淀んだ状態が続く
2018年10月10日

1918年 『パリ風景』東京国立近代美術館

一応、初期は物資の苦労はしてたのかなあという気もしないでもない。分からんけど。絵の具の選択にこだわりが出てないのだよぬ


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藤田嗣治:31歳の時に描いたモンマルトルの街の風景画(画像は検索出てこなかった)この辺でグンとブレイクスルーしたような感があった。それまでの絵では、人物描いてても顔がキマってないなあとか、黒色絵の具にこだわりがまだ無さそうとかあって、このモンマルトルの絵で、黒使いの個性が出てきてる
2018年10月10日

このモンマルトルの絵がなぜか図録にも載ってないのだが、
乳白色以前の藤田が模索中だった頃の「キマってない人物像」というのは、例えば以下の作品、これらは展覧会図録から。この頃は、人物造形が未熟で誰かの作風をとって付けたような感じがある。
上:1914年 ‘Portrait of Ms. Chantal’、下:1917年 ‘Three young women’

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藤田嗣治:モンマルトルの風景画、いわばユトリロみたいではあるが、白地の白の綺麗さや、白地に溶け込むよう描かれたサクレ=クール寺院、それに対して黒いシルエットで描いた街路樹との対比、というのを意識してる感じ。
2018年10月10日

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藤田嗣治:あ、その前の30歳の時、パリで大和絵プラスギリシャの壁画を取り混ぜたような人物を描いてて、この時すでに油性に墨を併せ使いするというウルトラC(死語)をしてる。油性と水溶性を同じ画面で使うのは、ちゃんと定着しないので誰もやらない。藤田がなぜこれを可能にしたかは最近明らかに。
2018年10月10日

藤田の独自技法についてはこの本参考に。
藤田嗣治の絵画技法に迫る:修復現場からの報告

藤田嗣治の絵画技法に迫る:修復現場からの報告

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藤田嗣治:この「油地の上に墨」技法初頭期に描いた大和絵ギリシャ風な絵は、色数が多くて色彩センスはあまり洗練されてない印象はあった。かつ人物の顔はモディリアニにも似ていて、ちょうど1917年にモディリアニを扱う画商と契約したというところが面白い。
2018年10月10日

1918年 『目隠し遊び』

人物造形はどうしてもモジリアニ風に見えるよぬ。色数が無駄に多く配色センスが幼稚な感じがする。原色の赤青緑をあまり考え無しに置いてるなと思う。後年の洗練された色のセンスからしたら、こんな時期もあったのだなあと感慨深いものがある。

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藤田嗣治:1918年31歳の、食材用の死んだ兎とネギを並べた台所の静物画、ここで、藤田の特有の色彩センスが完成されてる。油地に墨、色数は抑えてる。この時の絵で、西欧木造建築の漆喰による白壁から、のちの白地を生かす技法に気づいていったんだなと思った。多分。
2018年10月10日

 これも、図録にも掲載されていず、検索でも探したが見当たらない。いい絵でした。


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藤田嗣治:1919年『私の部屋』、ここで完璧に出来上がってた。これぞ藤田の色彩、藤田の描線、藤田による技法、藤田の乙女チックラブリーな世界。クロスの浅いローズ色の愛らしさ。アンティークの木製チェストは墨で木目を丹念に描いてる。輪郭の墨の描線はペンで引いたように細い。完成度が高い作品
2018年10月10日

1921年 『私の部屋』(ポンピドゥーセンター蔵)

 白描を全面に出してやっていく段階に至って、色彩のセンスもグンと洗練度が上がった。これは下地のマチエールも丁寧で、しみじみと良い作品だった。


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藤田嗣治:1922年の肖像画。実際にかなり自身のファッションセンスが磨かれたのか、色彩の配置にも成功してる。セルリアンブルーのシノワズリーのドレスに大きな翡翠のペンダント、翡翠色のシフォンらしきブラウスの袖、翡翠色のストッキング!そんな色のストッキングがあったのか?
2018年10月10日

1922年 "Portrait of Emily Crane Cbadbourne" シカゴ美術館蔵

 油彩で白描やる独自手法にたどり着く以前は、決して色彩センスが良い人ではなかったように思う。色彩センスが悪い、というのは、例えば色に対するテーマが絞れてなくて何でも手当たり次第盛り込んでしまうとか、彩度明度の違いを考えずに配色してしまうとか。色彩センスだけは、色んなコツを身につけるだけで誰でも向上する能力ではある。あと、絵画で言えば、絵の具の品質に対するこだわりは大事で、色さえつけば何でも良いというわけにはいかない。


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藤田嗣治:1923年のラブリーな裸婦画。お腹ポンポコリンの猫。藤田好みの彩度低めのローズピンクが背景の壁紙(このデザインも良い)にも裸婦の肌にも使われている。シーツの皺は墨で表現され、この独自の技法も完成されている。この時、地塗りは完全に平滑な塗り、以前のはマチエールつけていたのだが
2018年10月10日

1923年 『タピストリーの女』京都国立近代美術館

 これもモデルとの親しみの情だったり温かいものが感じられて、いつ見ても微笑ましい良い絵だと思う。人物造形についても、この時はもう完成されていて、手法も人物も藤田オリジナルがしっかり出来上がっていてもう迷いがなくなった感じ。


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藤田嗣治:墨使いや地塗りといった独自技法だけでなく、個々の猫の個性、モデル女性の個性、インテリアやファッションにも細かく考えて描いてるのが分かる。
2018年10月10日


 ここから感想にかこつけて自分の話をしだす私w

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藤田嗣治:先日の個展で若いお客さんに言われたこの藝大臭wについて観ながら考えてたのだが、テンペラの場合は半水溶性半油性のエマルジョンだが、油性だけを使わない利点というのは大きいなと。藤田の若い時からパリ時代までの変遷を追って観てても改めて思うのだった。
2018年10月10日


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この個展での会話の時、「テンペラ使わなくても、油彩だけでも描けますよね?」と訊かれて「描こうと思ったらそりゃかけるでしょうけど」と答えたのだが、水性や半水溶性だと、クッキリとした線描の表現が出来るのと、ハッチングはやはり画面がカチッと締まるの。油性だけで仕上げると全体がぼやける
2018年10月10日

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藤田嗣治:藤田も、油性絵の具だけでやってたのを経て、水性画材との併用に変わったが、線の表現がそれで可能になった。
そういえば、昔の知り合いで、ハッチングで描かれた人物は怖いから見たくないという人がいて、ハッチング人物画恐怖というのがあるのかと思ったものだ笑
2018年10月10日

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私がテンペラ油彩を勉強したのはデルナーというドイツ人が戦前に書いた本で、藝大由来というより、まあなに由来なのか。訳したのは佐藤一郎というテンペラ界の有名人だが、邦訳者と著者というのは違う。あと美大教育の弊害みたいな話には、全然ピンとこないよ派
2018年10月10日

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若いお客さんでなぜか「黒田清輝以来ヘンな油彩技法の日本」という逸話を語る人が3人いて、東京ではまずこの話からするのかという発見w「だから日本で油彩を学ぶのは難しい」と言う人もいて、それは関係無いだろうと。ヨーロッパの古今の油彩なんて都市部で年中見られるし、美術って半分は観て学ぶもの
2018年10月10日

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古今の先達者の油彩作品をたくさん観てさえいたら、別に黒田清輝云々は関係なく無いか?
2018年10月10日

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デルナーの技法書が良かったのは、ルーベンスに軸をおいて解説してたこと。ルーベンスは、習作や未完成作をたくさん残していて、完成までの途中経過がわかりやすい作家なのだ。日本でも観られる機会が多いしね。
2018年10月10日

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残りは、今日はもう遅いからまた明日。戦争画の話題は散々したのでとばす
2018年10月10日


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藤田嗣治:油彩だけで描かない利点・水溶性の絵の具と併用する利点というのは、この1923年に描かれた猫絵の小品の繊細さからも分かる。画像では分かりにくいが、白い油彩の絵の具と墨だけで、あとは極僅かな色味を感じさせるのみ。面相筆で、グラフィカルとも言える細く抑揚無くひいた墨線、
2018年10月11日


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藤田嗣治:その代わりに、ボカシ筆で温かい感じで陰影を墨で表現してる。描線はキリリと冷たく、陰影は温かく。これを墨で表現してる。ふつう、こうしたシンプルな小品は紙に描こうとするだろう、が、藤田オリジナルの併用画法を敢えて使うと。白地は平滑に綺麗に塗られた油彩で落ち着いた光沢がある
2018年10月11日

 画家の方と話したことがあるが、猫を描いた絵画に関しては、藤田の手法が群を抜いて猫らしい


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藤田嗣治:1930年に中南米周遊に出てるが、旅先では油彩のみのと水彩のみの作品を残してる。油彩のみで描かれたこの風俗画は、悪くもないけど、墨の併用で描いた作品と比べると、藤田の個性が死んでて精細に欠けてる。中南米社会主義美術に触発されて目先変えようとしてみてるんだろうけど
2018年10月11日


 藤田の場合、油彩のみだと急に精彩に欠けるようになる。構図や色は、パリ初期のキュビズム時代と比べて良いけど。

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藤田嗣治:一方で、紙に水溶性絵の具のみで描かれた風俗画は、油彩のみの時と違って、唸るほど完成度高い。藤田嗣治はやはり、水溶性絵の具の特質あってこその画家だと思う
2018年10月11日

1933年『ラマと4人の人物』三重県立美術館蔵

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藤田嗣治:油彩のみで描くと精細さに欠けていくという傾向は、のちの戦争画にも特徴として出てたかと。
2018年10月11日

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藤田嗣治:メキシコ時代の水彩画は、漂白されてない紙を選んで使ったと思いきや、どうも白い部位は塗り残してるのかなという感じで、茶系で地塗りをしてるのかも。白地時代とは違う手法に挑戦してるが、近代日本画の絹本の作品で、こういう地の色にしてる作例をよく見るので、日本画を参照にしてるかも
2018年10月11日

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藤田嗣治:この有名な寓意画は1940年作か。日本に帰ってからだよな。まだ絵の具の備蓄があったのか(もしくは戦時中は出し惜しんで持ってたか)、藤田ならではの絵の具へのこだわりも復活。背景の黒は、「花のブリューゲル」の背景の様に、透層用の白を混ぜてしっとりさせている。
これは名作ですよぬ
2018年10月11日


 花のブリューゲルが背景の黒色に混ぜたのは、クレムス白といいまして。


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藤田嗣治:戦後、シレッとこんな可愛い作品を描き出して、何なんだこいつはと改めて人間性疑うわなw 裸婦の方、周りの擬人化した動物の服の着方が、ちょうど3歳くらいの幼児が自分でパジャマ着たような、絶妙な雰囲気を出していて、実に巧いというか可愛いというか。可愛い絵だけ描いてりゃ良いのに。
2018年10月11日


人間性疑うというのは、いろいろ過去記事に書いたりしたけどw 藤田君はおバカさんだけど、絵描きとしては好きなのだった。



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藤田嗣治:戦中と戦後でシレッと題材変えるのは、藤田という人が大局で先を見通すような能には欠けてて、深く思い詰めて内省するタイプでもなく、その時の細々とした愛らしい物との生活感で制作していく方に向いてたからだが。
戦後、カトリックに入信して描いた宗教画も、皮肉にも大変良い作品である
2018年10月11日


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藤田嗣治:多少、忸怩たる思いがあって入信に至ったんだろうけど。戦後に手のひら返しでGIと交際してふざけて写真撮るような良い加減な人が、こんな良い聖母の顔が描けるなんて、皮肉なもんだなあと思う。ここまで完成度高い聖母もなかなか無い。衣襞の造形は、北方ルネサンスの木像を想起させる。
2018年10月11日


この聖母の人物造形は、ほんとに素晴らしい。

藤田くん、良い加減なヤツだけど、君のことココロの友達だと思ってるよ

展覧会の感想をTwilogから発掘する(六)デュシャンから東山魁夷まで

今年のシメに、今年行った美術展をいくつかピックアップしておきます。
なんかね、藤田嗣治展の記事を一緒にここに入れるとCSS表示が崩れるので(何がいけないのかよく精査したが全く分からない)(?_?)分離して頁を別々にします。↓
yow.hatenadiary.jp

マルセル・デュシャンと日本美術展 (2018年11月 東京国立博物館平成館)

www.tnm.jp
撮影可の展示だったので、自分のカメラで撮ったものを紹介していきます。


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デュシャン展:色んな時代の代表作をまとめて観て思ったのは、デュシャンて凄くセンスの良い人だったんだなというのが先ず。キュビズム時代の、この有名な「階段を降りる人体」ですか、これも絵画としての見応えがしっかりとあって、キュビズム絵画でほとんど初めて「良い」と思えたよ。
2018年12月5日

上:1912年『階段を降りるヌード NO.2』 下:1912年『急速な裸体たちに囲まれたとクイーン』

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デュシャン展:センスが良いというのは、ファッションセンスが良いとか色彩のセンスが良いというようなセンスの良さ。一般に広くイメージされてる「破壊した人」というのではなく、ちゃんとレイアウトや鑑賞に耐えるマチエールの美しさとかを考えてやってる人だよ。
2018年12月5日

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デュシャン展:有名な大ガラス、これも美術品として「あ、良いやん」と思わせる作り込み。当時、これが美術品だという評価は得られにくかっただろうけど、今見たら紛れもなく美術だよぬ。この裏は、錫なのかな、なんだろ。素材の良さも評価できる
2018年12月5日

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デュシャン展:大ガラス、1980年の瀧口修造東野芳明監修による復元の展示だったのね、そうだわなオリジナルは割れちゃったもんね。
東大の美術館にあるデュシャン作品も綺麗だよね
2018年12月5日

『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』(通称大ガラス)1980年複製、オリジナルは1915−23年


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デュシャン展:これも有名な絵画、チョコレート磨砕機なる機械が向こうにはあるらしくそれを写してるわけだが、ミクストメディアのコラージュ作品でもあるのね。非常にセンスの良い洗練された絵画。この人、まともに美術家だよぬ
2018年12月5日

『チョコレート磨砕器 NO.2』1914年

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デュシャン展:この今でいうコンセプチュアルアートになるのか、お宝の箱の作品。1935年から41年か、この時代にこんなセンス良いことをやってのけるところに、嫉妬しかないわ。三枚目のメールアートも、可愛いじゃろ。
2018年12月5日

マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による』1935 - 1941年、1963 - 1965年(内容)。シリーズF、1966年版


1915年 "The"

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デュシャン展:エロスがどうのこうの、テーマにあるそうだが、正直この人の作品からエロスの追求なんかどうでも良い感じはする(ぉい と言いつつ、私も次回テーマ、デュシャンみたいな捻り方してしまいそうで、引きずられないよう、しっかり考えないといけない
2018年12月5日



ピエール・ボナール展 (2018年11月 国立新美術館

bonnard2018.exhn.jp

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ボナール展:「ボナールって確か好きじゃないタイプの絵描きだった」という曖昧な区分だけがずっとあって、もしかして食わず嫌いだったかもしれないから観てみることにした。果たして、半分見込違い、半分自分の記憶は合ってた。作者の詳しい履歴は全く知らないが、1990年頃より前と後とで、作品が違う
2018年12月5日

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ボナール展:ボナールは1867年生まれで1990年頃だとまだ若者。1888年ナビ派という画家のグループが現れボナールはその代表的な画家、セザンヌなどを尊敬してたと。ふむほむ、この時代のモダニズム画家は、あまり好きなのがいなくてナビ派というグループについては今、ウィキペディアを参照したが
2018年12月5日

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ボナール展:セザンヌへの憧れらしきものがボナールの絵に表れてから、それまでの絵にあった幸福感が見られなくなっていった。私にとっては、ボナールによるモダニズム絵画としての試みは退屈で、基本的にアーティストとしては特異な人でもなかったのに、背伸びしてるように思えた。
2018年12月5日

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ボナール展:若い時代の彼の作品の良さは、対象に対する個人的な細やかな情や愛がにじみ出ているところにあった。多分、それほど腕の立つタイプの絵描きではないし、セザンヌデュシャンのように目から鼻へ抜けるようなセンスもないし、異彩を放つ人ではなく
2018年12月5日

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ボナール展:本来は、日常の細やかなことや幸福感によってしみじみとくる絵を描いていたタイプではなかったのかと。そういう意味では私の中ではどこか藤田嗣治に通じるものがある。この自分の妹を描いた絵なんかは本当に、良い絵だった。ブラウスのいかにも愛らしいローズ色、藤田も好んだ色だったな
2018年12月5日

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ボナール展:ローズ色と白色の対比が美しいブラウスの描写。スカートの赤と背景の緑が暖かい。人物描写も良い。特に顔や手の描き方に対象への愛がこもってる。生成色の下地を活かした柔らかなタッチ。絵の幸福感が微笑ましい
2018年12月5日

上:1892年『格子柄のブラウス』 下:1890年『アンドレ・ボナール嬢の肖像、画家の妹』

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ボナール展:画家本人と恋人との事後を描いた絵。人体のデッサンの未熟さが目につく。背景の壁が暗いワイン色で、そのワイン色を肌の影として活かし人物を浮き立たせて描こうとしているが上手くない。しかし、格子柄のクロスとその上に乗った仔猫2匹の後ろ姿を置いた、左下部分は素晴らしく成功してる
2018年12月5日

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ボナール展:この恋人との自画像、左下隅なんかは、フェルメールのいわゆる「光の粒」を彷彿とするようなこころみをあいてあって、それが美しく描かれている。少し差し色でサーモンピンクを置いてるのもちゃんと効いてる
2018年12月5日

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ボナール展:1893年の小品。単純化したシルエット的な人物造形だが、温かい柔らかなタッチで、少女の可憐さがよく表現されている。先程の3点もそうだが、画家が楽しんで描いてるというのが伝わってくる。絵の具を塗るのが楽しい、自分が愛おしいものを形づくるのが楽しい。
2018年12月5日

1893年『黒いストッキングの少女』

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ボナール展:1891年から97年までのグラフィックデザイナーとしての仕事の展示もあったが、人物のデフォルメの下手さが目につく。構成もさほど変わったところもなく
2018年12月5日

上:1894年リトグラフ"La Revue Blanche " 下:1891年リトグラフ”France - Champagne"

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ボナール展:1907年から1935年までの水浴する裸婦像のシリーズが一室で集められていた。ここに至るとセザンヌからの感化は見てとれるが、画面には、かつてあった絵の具へのフェティッシュがもう無い。裸婦といってもあまりに変哲の無さで私にはもう、どの絵が掛かってたんだか、印象に残ってない。
2018年12月5日

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こういうのは実物の画面を見ないと、画像では確認できることでは無いんで
2018年12月5日

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ボナール展:あ、そうだ、ポスターにあった丸テーブルに人物と猫の絵とか、1905年から43年にかけての家庭内の日常を描いた作品群も、なんかパッとしない。一つに、絵の具へのフェティッシュが無いからだろなあと思ったりする。絵画としての見所が無いというか。元々巧い絵描きでもないからなあ
2018年12月5日

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ボナール展:風景も同じく、どの絵だったかもうよう分からん。記憶に残ってない。
この時の新美術館特別展は、記憶に残らない絵頂上決戦をやってたのだろうか?
2018年12月5日



東山魁夷展 (2018年11月 国立新美術館

bijutsutecho.com

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先ず東山魁夷展感想から。すごく有名なのに自分の中で印象がまるで無い、つまりこんなに記憶に残らない画家だったのかと今回改めて気付かされた。私の脳内では「何で評価されてるのかよく分からないアーティストランキング」というのがあって、新たに彼の名が刻印された。
2018年12月4日

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東山魁夷:遠くから見ても近づいて見てもなんの工夫も見えてこないのが特徴のような風景画。といってオーソドックスというではないし、とにかく愚直に描いてるんだ、に尽きる。愚直って、私にとってはただの批判用語
2018年12月4日

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東山魁夷展:殆どのミュージアムが休館日の月曜日に東京にいたから入って観ただけで、そうでなかったら一生観ることもない機会、といえる。ただ、一点良いなと思ったのが、代表作の唐招提寺障壁画。
2018年12月4日

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東山魁夷唐招提寺障壁画、鑑真和上にちなんだ風景画になっている。鑑真が布教のため海を渡って唐から日本に渡って来たが、何度も渡航に失敗して船が沈み、仲間も殉職し、自身は失明までしたのは、皆さん学校で習ったでしょう。
絵の描き方としては素直で特に特徴的なものはない。全体の構成は的確。
2018年12月4日

1975年 唐招提寺御影堂障壁画『濤声』

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東山魁夷:鑑真ら渡来僧の布教のための営為、東アジア初期の仏教の戒律への厳格さ、そういった背景がちゃんと絵画になってる。描く意味さえ与えられたら、こんなに良い作品が描けるのだ、ということ。誰かが「その絵」を描くことにちゃんと由縁があることの良さがこう端的に出た作品も、珍しいのでは。
2018年12月4日

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東山魁夷:鑑真に由来する作品を唐招提寺の障壁画としてオファーされる、美術としてはこれ以上ないサイトスペシフィックで、的確で極シンプルな構成で、素朴な絵描きが仕事をして、結果的に成功しているというこの状況。これを観られただけで、入って良かった展覧会であった。
2018年12月4日

 
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可愛いは作れるのと同じように、作品を作る由縁も努力したら作れるの
2018年12月4日

ほんま。



平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風 複製展示(2018年11月 東京国立博物館

www.tnm.jp

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東博で、大英博物館所蔵の平家物語合戦図屏風の複製の展示があった。そうとは知らずに入ったが、ガラス無し、近くに寄って細かい描写を観られるためことのほかこの良かった。オリジナルをスキャンしてデジタルデータにして、その上に金箔を施している。今の高精度のインクジェット印刷は侮れんからなあ
2018年12月5日

画像をクリックすると、キャプションの字が読める大きさが表示されます

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東博:この合戦図屏風、構成も細部の造形も素晴らしい名品だが人物も騎馬も小さく描き込まれているため、オリジナルの展示だとあまり近寄って観ることは叶わないから細部は視えないわけで、この複製による展示は意義深いと思う。照明は行灯のように温白色で下から照らし、時々明るさを落とすという演出
2018年12月5日

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東博:ま、ぐっと近寄るとこれは印刷だなというのはわかる、絵描きならば。東博GJって、アンケート用紙には書いて出しといた。
2018年12月5日

 キャプション見たら分かるのだが、屏風をスキャンしてデジタルデータにして高精細出力後、箔工芸の職人さんによって金箔をほどこしてある。かなり近くで観なければ、全く遜色がない出来栄えだった。こうした文化財障壁画の高精度のダミー展示は、京都の寺院でも行われていて、景観に遜色が無ければ全く問題ないと思うし、むしろ拝観者も多くなった今、我々も安心出来るので賛成だ。

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今回は以上で。ではでは。

画家の私がクラウドファンドを利用して「もっとこうすればよかった」点など振り返ってみる 〜 個展『二月革命』を終えて その2

前回、自分の個展『二月革命』はいかによく出来たてかを総括?する記事でしたがw、今回は個展開催資金のためにクラウドファンド「MotionGallery」を利用して、実際何をしなくてはいけなかったか、何にどれくらい時間を要したか、他気付いた点、「もっとこうすれば良かった」と思った点など、書き出していこうと思います。
yow.hatenadiary.jp
motion-gallery.net

クラウドファンドとは:ごく平板に言えば、不特定多数の人から寄付を集めて、ふるさと納税のように特典や返礼品を寄付者に送るシステム。私は美術の個展に対する寄付だったので「絵を買ってもらう」という形をとりました。

Wikipedia「クラウドファンディング」より「不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる」

芸術への助成金制度に申請しようとしていたけれど。


美術への助成に申請する事前に、作品発表をする会場と日程を決めて、契約を済ませておかないといけない

当初は、企業の芸術支援として設けてる助成金制度に申請することを考えていました。美術分野では年に数件、いくつかの企業や自治体が助成を行なっています。件数は数える程なので、タイミングの問題があります。美術分野については多くは、作品発表開催に対する資金援助、という形をとっています。「助成の対象となる事業の実施期間」が2年くらい以内に規定されていては、申請前に、会場(ギャラリー)と開催日程を抑えて、そことの契約が確定したものとして、会場と具体的な日程を書かなければなりません。なので、一番最初にすべきことは会場探しですね。

こちら側の進捗予定と、助成の対象になる決まった期間とのタイミングが合わないかもしれない

私のように、制作だけで2年以上に亘る作家だと、タイミングをうまく図らないといけませんね。制作の進捗がある程度進んだところで申請に乗り出すことになりますね。個展開催ではなく、制作期間への助成を設けてるところもわずかにあり、こちらの方が私には有り難いのですが、私の知る範囲では美術に対しては少ないかと。

推薦者を立てないといけないところもある

美術への助成全てではありませんが、営利関係にある人以外で推薦者を立てて、一筆お願いしないといけないところもあります。

基本、助成申請者には、そこそこ新しいコンピュータ(orタブレット)環境や作業スキルがあることが不文律に求められてるかと思われ。

これが結構地味にハードルになってきます。応募の企画書を作るのにExcelを指定されてあったり。

審査に通っても必ずしも最大額で貰えるわけではない

1件最大100万円までと募集にあって当選したら100万円貰えるわけではないと。しかし、助成とクラウドファンドの違いの一つに、クラウドファンドは自分による広報が不十分だと支援金ゼロの可能性もあるけど、助成は審査が通れば運営が試算した金額は貰える、というところはあります。


 私の場合、制作の途中で自分の病気があり、それに伴う家庭内の問題を抱えて1年以上気を取られてまして、気がつけば貯金残高の心配をしなくてはならないようになり、今回の個展は助成を申請しようと思い立ったのが2017年9月。11月にはギャラリーを決めて、日程が確定したのが2017年12月。考えていた企業助成の申請締切日が11月末だったので、ダメ元で日程は空白で書いて出しましたが、やはり落選。それを見送ってしまうと、他の助成でも対象となる「事業の実施期間」が更に翌年などにずれ込んでしまう。そこで個展実施を助成のために延期するより、クラウドファンドに頼ってみることにしました。

クラウドファンドMotionGalleryを選択した理由

2018年のゴールデンウィーク前まではまだ助成を考えてたのですが、前回個展からのブランクをこれ以上ひと月でも空けるのはよくないと思い、諦めました。2018年9月末からの開催は、自分で許容できるギリギリだと思ったのです。
MotionGalleryに決めたのは、


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  • 他者のエントリーで問題のある変な企画は見当たらなかったことと
  • 美術では過去のエントリー企画に、横トリ出展の企画や知ってるアーティストさんの名前があったから(ブランド信用みたいなもの)
  • エントリーの事前に審査が設けられてあったから


エントリーする前に、具体的なプランを書いて提出し、その審査に1週間はかかるかもしれない

予め審査があるというのは、そのシステムを利用する側にとっても信頼の担保ですから、ある方が望ましい。過去にいくつかクラウドファンドに出した企画でネット炎上した事件もあり、そういう企画を通してしまった運営のところでは、自分の大事な企画を載せるわけにはいきません。

クラウドファンドのエントリーも、そこそこ新しいコンピュータ環境や作業スキルが無いと困難かも。

 申し込みの時点で、ウェブ上のフォームで具体的なプランを書いて提出するようになっていました。私の場合はデザイン科出身でこうした作業に慣れてたからか、提出した日に審査が通った通知が来ました。1週間はこの時点でやり取りすることもあるかと思います。
次にウェブ上に自分のエントリーページを作らないといけないのですが、この作業に私も3週間かかりました。このエントリーページも審査がかかります。3週間かかった理由として、「リターン品」の用意に先ず手間がかかりました。それと、途中5日間親の入院がありどうしても手が止まったのもあります。また、出来ればPR動画を作るようにも促され、慣れない動画制作をしたからというのもあります。基金を利用するわけですから、動画で居住まいを正して自分で説明するのは、確かにやるしかないと思いました。

クラウドファンドのリターン品用意の大関

助成がダメならクラウドファンドを利用しようと思い立ったのは、手元に数年前描き溜めた四つ切りサイズの人物デッサン画が沢山あるからこれを利用すれば良い!と考えたからなんですが、後に、これを「リターン品」として扱うには、なかなか厄介であることにだんだん気がついていきます。ちなみに、リターン商品は申請の際に何が出せるのかある程度リストアップ出来てなくてはいけません。
yow.hatenadiary.jp
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リターン品は小さめの商品が吉

 厄介というのは、品の大きさの問題です。先ず、MotionGalleryではリターン品を渡すのに郵送着払いは不可であると規定されていました。つまり、送料と梱包材込みの値段設定をしなければなりません。四つ切りという紙の規格(545 mm × 395 mm)に描いた作品を折れないように届けるには、サイズが嵩張るのです。


エントリーの際、説明として作成した図
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 折れないようにする梱包材を含めると配送での「120サイズ」になります。当初デッサンだから2000円くらいで良い、2000円なら気軽に買ってくれる人が沢山あるだろう、と見込んで見切り発車したのですが、配送料と梱包材のお金で、2000円ではプラマイゼロとなってしまう。結局4000円の値をつけざるを得ず。しかも、四つ切りというのは日本の住宅事情を鑑みれば、気軽に飾ろうという大きさでもないんですよぬ…
 私は普段から個展出品するような作品しか作っておらず、気軽に描いた小品というのは実に数少なくて、しかも安い値段設定が出来るものがデッサン意外に無い… 薄い本とかクリアファイルなど複製物を改めて製作する時間の余裕も無い… さあ困った。こんなことなら、小さいサイズの版画をやっておけばよかった。こんな後悔が湧いてきました。
 ということで、以前お願いしたことのある印刷会社に、高精度の複製を作っていただくことにしました。なかなか、普通のオフセット印刷は大抵100部単位で注文受付ですから、印刷コストがペイ出来るほど枚数捌けないかもしれない、という勘定があって、オフセットではなく、個人的なお願いで小ロットでやってもらえる高精度印刷で製作して、一部3000円という値段設定でなんとか、損を出さないようにするしかありませんでした。
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 ご自分の生活費の中から支援に連なっていただいた方々の心意気が、もう本当にありがたかったです。

出す商品の時間と手間と材料費のコストバランス

 基金と言っても、ふつうにCreemaやEtseyなど手作りサイトに出品するのと同じくらい、商品に気も使って、かつコストバランス考えないといけません。運営からは「ボリュームゾーンは3000円から1万円の間なので、ここの種類か数が多い方が良い」とアドバイスはされてました。沢山製造して安く値段つけられる小品の版画や複製物の用意するのが一番得策かと思いましたね。郵送を考えて、定型郵便物サイズとかメール便サイズとか念頭に。リターン品の準備期間、商品開発期間がエントリーする前に要る。人によってはそれだけで1ヶ月とか長くみておかないといけないかもしれません。


 あと、これはわたし的には1人でやるには勇気が要ったのでしませんでしたが、他のエントリーでは、食事会などの招待をリターン品とする企画もありました。あと、折り畳み傘やクリアファイルを印刷屋さんに発注製作してリターンで出してる人もありましたね、日用品は比較的買われ易いんじゃないかと思います。

PR動画制作の関門

 最近は動画投稿し慣れてる人も増えてるでしょうけど、ほとんどしたことがない私には、先ずデスクトップで編集出来ることにこだわったため、ウェブ上で編集出来るサービスを探し、Clipchampというウェブサービスに行き着きました。*1 どの動画編集を使えば良いか選考するだけで丸1日潰れたりしました。
基金ということなんで、きちんと居住まい正して話した方が良いだろうと考えて、台本を作り、長過ぎないように推敲し、台本を読み上げる練習を何回もし、声を録音しての滑舌のチェックし、3ヶ月髪切ってなかったから美容院へも行き。
声はなるべくハッキリ録れた方が良いので念のためスマホではなく、一眼レフの録画機能で撮りました。動画見て下さる方で消音で観たり聴覚の弱い方もいるかということで、自分の喋りを字幕で起こして入れる必要があります。字幕が入れられるのとフェイドインの効果が出来る動画編集という条件で探して、Clipchampをたしか数百円の課金で利用。
撮影は、失敗もあったので2日要しました。編集では、説明図を制作込みで3日くらいか。なんだかんだで1週間はかかるということですか、動画制作してる時に親が軽度の肺炎で入院したため、途中で作業中断せざるを得ず。
ようやく動画をアップ出来てエントリーページを審査に出し、2、3運営から注文があって修正をし、審査通過、やっとエントリーページの公開へ。


 クラウドファンドを申請するために企画を書き出したのが5月23日、そこからエントリーページが実際に公開されたのが6月21日の夜。ほぼ1ヶ月近くかかってます。この間の仕事量としては正直「多いな」と思いました。エントリーにはこぎつけず脱落する人も相当いるだろうことは想像つきました。

支援を募る関門

 支援募集期間は6月21日から10月5日まで105日間を設定。ちなみに個展は9月22日から10月6日まででした。この105日間、ほぼ自力で広報をしていかないといけません。よほど目立って伸びるエントリー企画でない限り、MotionGallery運営にそんなに度々の広報してもらうことは期待出来ません。私と同時期のエントリーで目立ってた企画というのは下の2件。
motion-gallery.net
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 この短編映画製作の方は、MotionGallery運営史上一番支援金額を集めたようです。それでも、一般に映画製作にかかる資金としては多分まだ足りないような気もするけど。

SNSでの広報活動

 私は、大学の専攻が広告デザインではあったけど、それでも自分の広報活動なんてやらずに済むならやりたくなくて腰が引けてしょうがないのが本心でしたが、Twitterヘビーユーザー暦11年、はてなユーザー暦17年のSNSを生かしてなんとかやりました。内心は腰が引けてても気持ちを奮い立たせて、毎日手を替え品を替え、クラウドファンドの広報し続けるしかありません。幸い、Twitterは「スレッド」の機能が昨年12月から出来ていて、スレッド機能によってクドクド同じ文言のツイートを繰り返さずに済みました。宣伝ツイートを見飽きられないようにする工夫としては、例えば

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お返し品は、アートの場合、絵だけでは多分あかんなあと今は思う。他所の人のエントリー見たら、折りたたみ傘を作ってる人もいて、単価いくらするんかな?て感じだが、傘でなくても、付箋紙とかマウスパッド等日用品も製作して出品すべき。もうそんな発注してる時間が無いのでこのままやるしかないけど
15:33 - 2018年7月3日

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日用品は1点でも用意しといた方が、ほんま良いと思います。 15:50 - 2018年7月3日

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スレッドをたどりますと、今後クラウドファンド検討する作家さんの参考になるかとも思います。個展開催期日などにギリギリにエントリーすると、お返し品の用意が大変ですよ。あとお返し品改めて作るなら、サイズは小さく作るのが吉。運送費の問題が! 20:53 - 2018年7月3日


というように、他の方の何かの参考になるような経験談を入れていくとか、


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今描いてるこれですが、これもロシアの有名な絵画からのオマージュです。スリコフという画家の大作『モロゾーワ夫人の逮捕』。子供の時日本でのトレチャコフ美術館展で小さ目の習作で観たんですが、この絵画によって思想や信条で逮捕される政治の怖さというのを初めて学んだ、私には思い出深い絵です。 21:06 - 2018年7月5日


と、途中経過の作品写真やテーマの背景についてを書いたり


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描きながら次回の構想のことを考えてます。性風俗と法秩序的なことがテーマになりますが、アウトローに関する社会学の本も視野に。二月革命では調べるのに日数かけ過ぎたので、今度はなるべく専門家に礼金払って教えてもらうようにしたいと考えてますが、目標額オーバー or 助成金とれますように。  21:20 - 2018年8月1日


と次回の構想も決めてなんとか興味持っていただけるようにしてきました。
 あとは、何人かの方に予めクラウドファンドのTwitter宣伝の協力をお願いしていました。

募集期間の日程はよく考えないといけない

MotionGalleryでは募集終了日は、個展なり公演の終了後の設定は出来ない規定になっていました。なので準備・制作をしながら、クラウドファンディングを運営していかないといけません。
支援金はいつ貰えるか、確認して、場合によってはそこから逆算して支援募集期間を考えないといけません。募集終了後にすぐ振り込まれるわけではないのです。私の時は8週間後でした。この間に、リターンの実行を遂行しないといけません。
それと、手数料の問題。集まった支援金から何割手数料が引かれるか、確認した方がいいですね。MotionGallery の場合、目標額に達さなかった場合に手数料が発生するという規定になっていました。


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以上で、参考になりましたら幸いです。

*1:2018年6月はまだ、Mac OS10.11でこのウェブサービス使えたのに、10月後半にもう一作動画を作るためにアクセスしたら、使えなくなっていました。10.11って確か昨年にアップデートしたOSだったような。8年前に買った高価なソフトを使い続けるために最新版に替えるわけにはいかず。f:id:YOW:20181208012251p:plain