蠅の女王

小倉涌 画家 美術家 アーティスト 歴史画

医療用帽子とか、抗ガン剤治療中の患者が読む本で、私が買ったモノをさらす。

 


前回記事:『ヘアドネーションと抗ガン剤投与の私


====本日の内容=====


 ●役に立ったおすすめ本
 ●お出かけ用の医療用帽子は、円高もあって海外のハンドメイドのサイトがけっこう良かった
 ●抗ガン剤(CEF療法)2クール目だけど、副作用も抑えられてて、ふつうな近況報告




 最初の抗ガン剤投与からほぼ1ヶ月、だいたいの感じも掴めてきたので、グッズの話とか、治療はどういう感じか、ここで書いておきたいと思います。


情報ノイズを除けるための本


 本屋に行っても、学術書が置いてあるような書店の医学コーナーくらいにしかためになる本は見当たらず、ふつうの書店のにあるガン情報の本と言えば「食事でガンが消える」など、根拠の無い情報や気休めにしかならないもの、かえって有害な類いのものが多いものですが、

がん患者に対するアピアランスケアの手引き 2016年版

がん患者に対するアピアランスケアの手引き 2016年版

 こちらは8月に出たばかりの本。私としては治療中の美容に関してどうしても気になるところでしたんで、そのために即買いしました。

『外見ケアに指針 研究班、医療現場で活用を』

毎日新聞2016年7月27日 20時37分(最終更新 7月28日 01時37分)
http://mainichi.jp/articles/20160728/k00/00m/040/060000c


 国立がん研究センターの研究班は27日、がん治療によって生じる脱毛や皮膚炎など、がん患者の外見の変化をケアする治療法などをまとめた指針を発表した。患者にとって外見にかかわる副作用は大きな苦痛だが、命にかかわらないため十分な対応がされてこなかった。研究班は「全国の医療現場で患者支援に活用してほしい」と訴える。

 指針は医療関係者向けに作られ、「抗がん剤放射線の副作用を治療する方法」と「日常生活での対応」の2部構成。抗がん剤によって生じる皮膚の色素沈着への治療や予防とビタミンCの内服▽抗がん剤治療による皮膚の症状とステロイド外用薬▽抗がん剤治療中の脱毛への対応−−など50項目について、過去の研究データに基づき、6段階の推奨度と解説を掲載した。

 「脱毛後に生えた頭髪を染めてもいいか」など、患者からの質問が多い内容も盛り込んだ。一方、推奨度を決める根拠となる研究データが乏しく、「強い科学的根拠があり強く勧められる」(推奨度A)に該当する項目はなく、「科学的根拠があり勧められる」(推奨度B)も5項目にとどまった。

 抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えるため、吐き気や脱毛・皮膚の障害、爪の変化などが副作用として表れやすい。放射線治療でも皮膚炎などを起こすことがある。

 同センター中央病院の野沢桂子・アピアランス(外見)支援センター長は「美しくすることが目的ではなく、患者がその人らしく社会とかかわっていけることが外見ケアのゴール。予防や対処法の研究も進んでほしい」と話す。【下桐実雅子】


がん患者の外見ケア指針の項目例
抗がん剤による色素沈着の治療にビタミンC内服は有用か→科学的根拠が乏しいため基本的に勧められない。


放射線治療による皮膚障害への安全なスキンケア方法は→泡を使ってやさしく洗い、すすぎは十分に。「無添加」や「敏感肌用」にこだわる必要はない。


抗がん剤終了後に再び生えた頭髪を染めてよいか→毛染め剤のアレルギーや頭皮の湿疹などがなく、治療前に使用していた毛染め剤を注意深く使うことは否定しない。


▽爪の変形を安全にカバーする方法は→ジェルネイルなど硬化性の樹脂製品は推奨できない。ネイルチップ(つけ爪)を両面テープで接着することは否定しない。

 他、m3.com 臨床ニュース『がんの「アピアランスケア」手引き発行』など参照下さい。

 ここで推したいのが、「何をわざわざしなくても良いか」という情報があるところ。例えば、石鹸やシャンプーや化粧水をこれまで使用してた商品から替えなくても特に良いだろう、というよな。pHのみで肌に優しくなるというエビデンスは無い、とか。これはガン治療中でなくても普段の指南としても有効ですね。あと、肌が一時黒くなるといった副作用についても、その予防効果にはならない医薬品とか、脱毛の予防効果にはならないものとか、紹介されてます。余計な金を使わずに済むわけで、予防は出来ないなら、治療後の整容に金回せば良いというわけですね。
 私も今のところ、顔への化粧水も替えず、ボディーもコンビニ化粧水で保湿したりしてます。ただ、保湿に気合い入れるあまり色んな方法試した群の方が、肌のトラブルを抱えてるという調査項目もあり、ともあれ、普段通りにした方が良いかもしれません。



可愛い医療帽は海外の手作りサイトが充実してた


 CEF療法の場合、99.8%の確率で一旦脱毛があるということで、私ももれなく
1クール目の2週間過ぎた頃に脱毛が始まりました。とりあえず、脱毛期は毛があちこちに散らかるので家用の医療帽を買いますね、それはAmazonで買ったわけですが。

 ちょうど暑い時期にかかるもので、涼しいヤツが要るわけです。これは肌触りも良いし、落ちてしまう髪の毛もちゃんとキャッチしてくれるし、実用性高かったです。
 で、お出かけ用に買ったのが、この2点!




 いずれも海外のハンドメイド作品を売るサイトEtsy(https://www.etsy.com/jp/)に出品されてたもので、円高のため送料(1500円くらい)込みでも安い!最近は日本語にも対応してきています。違う作家さんですが、どちらも縫製はキチンとしていて、布の肌触りも良いです。上の商品の布地は伸縮性があって、襟足のカバー具合では下の商品よりも優れてます。何より一見して医療帽ぽくないし、スマートでクールなデザインで、気に入ってます。後頭部に膨らみのあるデザインの方が、医療帽ぽく見えないかもしれません。
 下の商品は、布地の伸縮性は無いけど上の帽子よりサラッとした肌触りで、より夏向きです。正直、Amazonで買った帽子よりもこちらの方が付け心地が爽やかです。ただ、実際にかぶってみると若干医療帽ぽさはありますw 後頭部にもっと膨らみのついたデザインの商品もあるので、そっちでも良かったかも。ただ、このデザインは飲食店の店員さんなんかが衛生帽として着けても可愛いと思うし、治療後もずっと愛用出来そうです。
 あと、この作家さんはオーダーがあってから製作されてるので、注文〜商品到着まで丸1ヶ月かかりました。手作りサイトでは注文製作の人もいるので、早目に購入しないといけませんね。あと海外サイトなんで、商品到着もだいたい2週間はみた方が良いです。
 他、Etsyで「Scrub hat」「medical hat」で検索すると、様々な商品が出てきます。子供用の医療帽も出品されています。最初は、ムスリム用のヒジャーブ等で探してみようかと思ってここに行き着いたんですが、まあ我々には素直にこうした医療用選んだ方が実用的かもしれませんね。




追記:2017年8月1日記事
『抗ガン剤治療開始から一年、治療終了から8ヶ月。髪もショートヘアに戻り。』http://d.hatena.ne.jp/YOW/20170801/p1

治療の身近況


 私はCEF療法という種類の抗癌剤治療を受けていて、長くて3週間に一回を6クール投与するらしいです。抗ガン剤副作用は個人差が大きいので、一概には何とも言えませんが、私の場合は元々持病も無く健康状態が良く、体力も充分にあったため、薬のダメージもほとんど無く、つつがなく過ごせています。食事の変化もほぼありません。敢えて言えば、食後の甘いもの食べたい欲が無くなったのと、食事量は少し減ったかも。投与して一週間は膨満感と便秘(これは併用薬の副作用)に悩まされますが、焼き肉も中華もラーメンもカレーもピザも食べています。心因性の胃炎は起き易いので、抗鬱剤を精神科で処方してもらってます。これまで、一度も吐かずに済んでます。たまに、薬の負担で疲れが出たのか、無性に眠くなって昼寝だけの日があったりします。
 投与期間中の注意事項としては、白血球の値が減ってしまうため、感染症などに充分気を付けて過ごさなければなりません。ずっと以前から潜んでた歯根の化膿袋(というのか?)が急に腫上がって痛くなった、というよなことはありました(汗)現在歯科医にも通院中。
 先日、はてな匿名ダイアリーに、抗癌剤治療中のお母様について書いた記事が話題になったりしましたが、ガンのステージの重さと治療期間の差はあるのに、私の普段の実感とけっこうシンクロしてるなと思いました。

母親に結構な金が注ぎ込まれてる
http://anond.hatelabo.jp/20160823232626


なお、ちょっと話は変わるのだが、素人ながらに母親とその周辺にいるガン仲間をみていると、
今のところガンに特効薬は無いのだが、


1 日ごろから「ガン以外」は健康であること
2 食生活がちゃんとしていること


が、かなり大事なのだろうなと感じさせられる。
大体、ガン以外に持病があったり、肥満だったりする人は、正直、ガンになってからの生存年数が短いようだ。
治療には体に負担がかかるので、「健康(ガン以外)」でないと絶えられないものらしい。<中略>
幸いにして母は、患う前、年齢の割には健康診断の星が格段に少ない人であった。
あと、やっぱり食事が偏った人や、食欲が無くなった人は、どんどん衰弱していく。

 このタイトル、誤解されそうで何とかならないかという気もしないでもないですが、健康保険の話でもあるということで。私も国民皆保険制度が無い国に生まれていたら、とうに治療なんて諦めてただろうと、常々思っているところです。

 何度も言うように、副作用については個人差でして、このお母様のように周りの方が余計な心労をかけないようにいたわってあげられているか、また仕事によってはストレス受けざるを得ないこともあるでしょうから、私は今は余計な心労を自分で遠ざけられる生活を送れていて、ほんとに恵まれているだけかもしれません。友達からも温かい手紙を頂いたり、気兼ねなくお誘いを頂いて、それも大きな支えになっています。


 治療が始まる前に、『【精巣ガン】クリスマスにきんたま取ってみた』『精巣ガンのライターが、精巣ガンのマンガ家に会ってきた』という記事が流れてきて、このマンガも読んでみたのですが、

さよならタマちゃん (イブニングKC)

さよならタマちゃん (イブニングKC)

 抗ガン剤の種類や病状によっては、やはりキツい治療がまだあるようで、今後も医薬品開発等で改善されていくことを願います。治療開始直前の私にはかなり精神的に堪える内容でしたが(涙目w)、とても良い作品でした。
 病院で、抗癌剤の種類が決まるとその精神的ケアのためのスタッフがついてくれるんですが、このマンガを見せたら、


「うあー、この抗ガン剤は今でも確かにキツいわ・・・・これ読んじゃったのね・・・・」


「ここに出てくる後遺症は、CEF治療の場合は心配しなくて良いですよ」


と言われましたw

 抗癌剤治療にも色んな種類がある、ということはまず世間的に知られていないだろうし、私自身も知らなかったです。


 最後に、また私の作ったまとめを貼っておきます。ここを読んで下さった方々には、くれぐれも誤った治療選択をなさらないように、切に願います。


ガン代替療法とガン放置推奨論への批判記事や批判してる人の意見の収集してみた


ではでは。