蠅の女王

小倉涌 画家 美術家 アーティスト 歴史画

11月からすでに性風俗営業関連であたまいっぱいの私

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あけましておめでとうございます。
今年は年賀状を休みまして不調法致しております。
11月から、風営法‪・売防法‬関連の本や映像を観ていって、構想のインプット作業に励んでおります。
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こちらも早速勉強になりました。

さいごの色街 飛田

さいごの色街 飛田


まだ勉強中にかかわらず、今、次次回の構想について話をするのもアレですが(鬼が来るんでしょうか)、またソ連に戻るか、日本の近代を続けてやるか、という感じです。


本年度もご贔屓ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

展覧会の感想をTwilogから発掘する(六.五)藤田嗣治展

今年のシメに、今年行った美術展をいくつかピックアップしておく。その2

没後50年 藤田嗣治展 (2018年10月 東京都美術館

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藤田嗣治回顧展の感想をボチボチと連投。
藤田の父親がソウルで軍の偉いさんだったのだが、26歳、渡仏する直前にソウルへ行って、オーソドックスな画風で田舎の油彩風景を描いていた。藝大時代よりもグッと明るい仕上がりにしていて、絵の具を濁らせず、影部も黒や土系の絵の具をあまり使ってなかった
2018年10月10日

1913年 『朝鮮風景』

この風景画、何の変哲も無いけど、のちのキュビズム時代よりも丁寧に描かれている。藝大でどう教わってたのか一端を知るような感じだった。よく言われる「黒田清輝が誤った油彩画を教えて云々」の特徴が、この絵には現れていない。


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乳白色の時代ごろになると使う色数をかなり抑えるようになるが、この時はとりあえず色は沢山使ってて、うるさいと思えるほどではないけど。この後、27歳でキュビズム時代に入ると色が濁り出して、乳白色に墨の時代に突入する直前まで色は暗かったり淀んだ状態が続く
2018年10月10日

1918年 『パリ風景』東京国立近代美術館

一応、初期は物資の苦労はしてたのかなあという気もしないでもない。分からんけど。絵の具の選択にこだわりが出てないのだよぬ


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藤田嗣治:31歳の時に描いたモンマルトルの街の風景画(画像は検索出てこなかった)この辺でグンとブレイクスルーしたような感があった。それまでの絵では、人物描いてても顔がキマってないなあとか、黒色絵の具にこだわりがまだ無さそうとかあって、このモンマルトルの絵で、黒使いの個性が出てきてる
2018年10月10日

このモンマルトルの絵がなぜか図録にも載ってないのだが、
乳白色以前の藤田が模索中だった頃の「キマってない人物像」というのは、例えば以下の作品、これらは展覧会図録から。この頃は、人物造形が未熟で誰かの作風をとって付けたような感じがある。
上:1914年 ‘Portrait of Ms. Chantal’、下:1917年 ‘Three young women’

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藤田嗣治:モンマルトルの風景画、いわばユトリロみたいではあるが、白地の白の綺麗さや、白地に溶け込むよう描かれたサクレ=クール寺院、それに対して黒いシルエットで描いた街路樹との対比、というのを意識してる感じ。
2018年10月10日

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藤田嗣治:あ、その前の30歳の時、パリで大和絵プラスギリシャの壁画を取り混ぜたような人物を描いてて、この時すでに油性に墨を併せ使いするというウルトラC(死語)をしてる。油性と水溶性を同じ画面で使うのは、ちゃんと定着しないので誰もやらない。藤田がなぜこれを可能にしたかは最近明らかに。
2018年10月10日

藤田の独自技法についてはこの本参考に。
藤田嗣治の絵画技法に迫る:修復現場からの報告

藤田嗣治の絵画技法に迫る:修復現場からの報告

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藤田嗣治:この「油地の上に墨」技法初頭期に描いた大和絵ギリシャ風な絵は、色数が多くて色彩センスはあまり洗練されてない印象はあった。かつ人物の顔はモディリアニにも似ていて、ちょうど1917年にモディリアニを扱う画商と契約したというところが面白い。
2018年10月10日

1918年 『目隠し遊び』

人物造形はどうしてもモジリアニ風に見えるよぬ。色数が無駄に多く配色センスが幼稚な感じがする。原色の赤青緑をあまり考え無しに置いてるなと思う。後年の洗練された色のセンスからしたら、こんな時期もあったのだなあと感慨深いものがある。

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藤田嗣治:1918年31歳の、食材用の死んだ兎とネギを並べた台所の静物画、ここで、藤田の特有の色彩センスが完成されてる。油地に墨、色数は抑えてる。この時の絵で、西欧木造建築の漆喰による白壁から、のちの白地を生かす技法に気づいていったんだなと思った。多分。
2018年10月10日

 これも、図録にも掲載されていず、検索でも探したが見当たらない。いい絵でした。


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藤田嗣治:1919年『私の部屋』、ここで完璧に出来上がってた。これぞ藤田の色彩、藤田の描線、藤田による技法、藤田の乙女チックラブリーな世界。クロスの浅いローズ色の愛らしさ。アンティークの木製チェストは墨で木目を丹念に描いてる。輪郭の墨の描線はペンで引いたように細い。完成度が高い作品
2018年10月10日

1921年 『私の部屋』(ポンピドゥーセンター蔵)

 白描を全面に出してやっていく段階に至って、色彩のセンスもグンと洗練度が上がった。これは下地のマチエールも丁寧で、しみじみと良い作品だった。


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藤田嗣治:1922年の肖像画。実際にかなり自身のファッションセンスが磨かれたのか、色彩の配置にも成功してる。セルリアンブルーのシノワズリーのドレスに大きな翡翠のペンダント、翡翠色のシフォンらしきブラウスの袖、翡翠色のストッキング!そんな色のストッキングがあったのか?
2018年10月10日

1922年 "Portrait of Emily Crane Cbadbourne" シカゴ美術館蔵

 油彩で白描やる独自手法にたどり着く以前は、決して色彩センスが良い人ではなかったように思う。色彩センスが悪い、というのは、例えば色に対するテーマが絞れてなくて何でも手当たり次第盛り込んでしまうとか、彩度明度の違いを考えずに配色してしまうとか。色彩センスだけは、色んなコツを身につけるだけで誰でも向上する能力ではある。あと、絵画で言えば、絵の具の品質に対するこだわりは大事で、色さえつけば何でも良いというわけにはいかない。


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藤田嗣治:1923年のラブリーな裸婦画。お腹ポンポコリンの猫。藤田好みの彩度低めのローズピンクが背景の壁紙(このデザインも良い)にも裸婦の肌にも使われている。シーツの皺は墨で表現され、この独自の技法も完成されている。この時、地塗りは完全に平滑な塗り、以前のはマチエールつけていたのだが
2018年10月10日

1923年 『タピストリーの女』京都国立近代美術館

 これもモデルとの親しみの情だったり温かいものが感じられて、いつ見ても微笑ましい良い絵だと思う。人物造形についても、この時はもう完成されていて、手法も人物も藤田オリジナルがしっかり出来上がっていてもう迷いがなくなった感じ。


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藤田嗣治:墨使いや地塗りといった独自技法だけでなく、個々の猫の個性、モデル女性の個性、インテリアやファッションにも細かく考えて描いてるのが分かる。
2018年10月10日


 ここから感想にかこつけて自分の話をしだす私w

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藤田嗣治:先日の個展で若いお客さんに言われたこの藝大臭wについて観ながら考えてたのだが、テンペラの場合は半水溶性半油性のエマルジョンだが、油性だけを使わない利点というのは大きいなと。藤田の若い時からパリ時代までの変遷を追って観てても改めて思うのだった。
2018年10月10日


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この個展での会話の時、「テンペラ使わなくても、油彩だけでも描けますよね?」と訊かれて「描こうと思ったらそりゃかけるでしょうけど」と答えたのだが、水性や半水溶性だと、クッキリとした線描の表現が出来るのと、ハッチングはやはり画面がカチッと締まるの。油性だけで仕上げると全体がぼやける
2018年10月10日

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藤田嗣治:藤田も、油性絵の具だけでやってたのを経て、水性画材との併用に変わったが、線の表現がそれで可能になった。
そういえば、昔の知り合いで、ハッチングで描かれた人物は怖いから見たくないという人がいて、ハッチング人物画恐怖というのがあるのかと思ったものだ笑
2018年10月10日

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私がテンペラ油彩を勉強したのはデルナーというドイツ人が戦前に書いた本で、藝大由来というより、まあなに由来なのか。訳したのは佐藤一郎というテンペラ界の有名人だが、邦訳者と著者というのは違う。あと美大教育の弊害みたいな話には、全然ピンとこないよ派
2018年10月10日

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若いお客さんでなぜか「黒田清輝以来ヘンな油彩技法の日本」という逸話を語る人が3人いて、東京ではまずこの話からするのかという発見w「だから日本で油彩を学ぶのは難しい」と言う人もいて、それは関係無いだろうと。ヨーロッパの古今の油彩なんて都市部で年中見られるし、美術って半分は観て学ぶもの
2018年10月10日

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古今の先達者の油彩作品をたくさん観てさえいたら、別に黒田清輝云々は関係なく無いか?
2018年10月10日

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デルナーの技法書が良かったのは、ルーベンスに軸をおいて解説してたこと。ルーベンスは、習作や未完成作をたくさん残していて、完成までの途中経過がわかりやすい作家なのだ。日本でも観られる機会が多いしね。
2018年10月10日

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残りは、今日はもう遅いからまた明日。戦争画の話題は散々したのでとばす
2018年10月10日


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藤田嗣治:油彩だけで描かない利点・水溶性の絵の具と併用する利点というのは、この1923年に描かれた猫絵の小品の繊細さからも分かる。画像では分かりにくいが、白い油彩の絵の具と墨だけで、あとは極僅かな色味を感じさせるのみ。面相筆で、グラフィカルとも言える細く抑揚無くひいた墨線、
2018年10月11日


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藤田嗣治:その代わりに、ボカシ筆で温かい感じで陰影を墨で表現してる。描線はキリリと冷たく、陰影は温かく。これを墨で表現してる。ふつう、こうしたシンプルな小品は紙に描こうとするだろう、が、藤田オリジナルの併用画法を敢えて使うと。白地は平滑に綺麗に塗られた油彩で落ち着いた光沢がある
2018年10月11日

 画家の方と話したことがあるが、猫を描いた絵画に関しては、藤田の手法が群を抜いて猫らしい


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藤田嗣治:1930年に中南米周遊に出てるが、旅先では油彩のみのと水彩のみの作品を残してる。油彩のみで描かれたこの風俗画は、悪くもないけど、墨の併用で描いた作品と比べると、藤田の個性が死んでて精細に欠けてる。中南米社会主義美術に触発されて目先変えようとしてみてるんだろうけど
2018年10月11日


 藤田の場合、油彩のみだと急に精彩に欠けるようになる。構図や色は、パリ初期のキュビズム時代と比べて良いけど。

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藤田嗣治:一方で、紙に水溶性絵の具のみで描かれた風俗画は、油彩のみの時と違って、唸るほど完成度高い。藤田嗣治はやはり、水溶性絵の具の特質あってこその画家だと思う
2018年10月11日

1933年『ラマと4人の人物』三重県立美術館蔵

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藤田嗣治:油彩のみで描くと精細さに欠けていくという傾向は、のちの戦争画にも特徴として出てたかと。
2018年10月11日

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藤田嗣治:メキシコ時代の水彩画は、漂白されてない紙を選んで使ったと思いきや、どうも白い部位は塗り残してるのかなという感じで、茶系で地塗りをしてるのかも。白地時代とは違う手法に挑戦してるが、近代日本画の絹本の作品で、こういう地の色にしてる作例をよく見るので、日本画を参照にしてるかも
2018年10月11日

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藤田嗣治:この有名な寓意画は1940年作か。日本に帰ってからだよな。まだ絵の具の備蓄があったのか(もしくは戦時中は出し惜しんで持ってたか)、藤田ならではの絵の具へのこだわりも復活。背景の黒は、「花のブリューゲル」の背景の様に、透層用の白を混ぜてしっとりさせている。
これは名作ですよぬ
2018年10月11日


 花のブリューゲルが背景の黒色に混ぜたのは、クレムス白といいまして。


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藤田嗣治:戦後、シレッとこんな可愛い作品を描き出して、何なんだこいつはと改めて人間性疑うわなw 裸婦の方、周りの擬人化した動物の服の着方が、ちょうど3歳くらいの幼児が自分でパジャマ着たような、絶妙な雰囲気を出していて、実に巧いというか可愛いというか。可愛い絵だけ描いてりゃ良いのに。
2018年10月11日


人間性疑うというのは、いろいろ過去記事に書いたりしたけどw 藤田君はおバカさんだけど、絵描きとしては好きなのだった。



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藤田嗣治:戦中と戦後でシレッと題材変えるのは、藤田という人が大局で先を見通すような能には欠けてて、深く思い詰めて内省するタイプでもなく、その時の細々とした愛らしい物との生活感で制作していく方に向いてたからだが。
戦後、カトリックに入信して描いた宗教画も、皮肉にも大変良い作品である
2018年10月11日


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藤田嗣治:多少、忸怩たる思いがあって入信に至ったんだろうけど。戦後に手のひら返しでGIと交際してふざけて写真撮るような良い加減な人が、こんな良い聖母の顔が描けるなんて、皮肉なもんだなあと思う。ここまで完成度高い聖母もなかなか無い。衣襞の造形は、北方ルネサンスの木像を想起させる。
2018年10月11日


この聖母の人物造形は、ほんとに素晴らしい。

藤田くん、良い加減なヤツだけど、君のことココロの友達だと思ってるよ

展覧会の感想をTwilogから発掘する(六)デュシャンから東山魁夷まで

今年のシメに、今年行った美術展をいくつかピックアップしておきます。
なんかね、藤田嗣治展の記事を一緒にここに入れるとCSS表示が崩れるので(何がいけないのかよく精査したが全く分からない)(?_?)分離して頁を別々にします。↓
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マルセル・デュシャンと日本美術展 (2018年11月 東京国立博物館平成館)

www.tnm.jp
撮影可の展示だったので、自分のカメラで撮ったものを紹介していきます。


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デュシャン展:色んな時代の代表作をまとめて観て思ったのは、デュシャンて凄くセンスの良い人だったんだなというのが先ず。キュビズム時代の、この有名な「階段を降りる人体」ですか、これも絵画としての見応えがしっかりとあって、キュビズム絵画でほとんど初めて「良い」と思えたよ。
2018年12月5日

上:1912年『階段を降りるヌード NO.2』 下:1912年『急速な裸体たちに囲まれたとクイーン』

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デュシャン展:センスが良いというのは、ファッションセンスが良いとか色彩のセンスが良いというようなセンスの良さ。一般に広くイメージされてる「破壊した人」というのではなく、ちゃんとレイアウトや鑑賞に耐えるマチエールの美しさとかを考えてやってる人だよ。
2018年12月5日

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デュシャン展:有名な大ガラス、これも美術品として「あ、良いやん」と思わせる作り込み。当時、これが美術品だという評価は得られにくかっただろうけど、今見たら紛れもなく美術だよぬ。この裏は、錫なのかな、なんだろ。素材の良さも評価できる
2018年12月5日

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デュシャン展:大ガラス、1980年の瀧口修造東野芳明監修による復元の展示だったのね、そうだわなオリジナルは割れちゃったもんね。
東大の美術館にあるデュシャン作品も綺麗だよね
2018年12月5日

『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』(通称大ガラス)1980年複製、オリジナルは1915−23年


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デュシャン展:これも有名な絵画、チョコレート磨砕機なる機械が向こうにはあるらしくそれを写してるわけだが、ミクストメディアのコラージュ作品でもあるのね。非常にセンスの良い洗練された絵画。この人、まともに美術家だよぬ
2018年12月5日

『チョコレート磨砕器 NO.2』1914年

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デュシャン展:この今でいうコンセプチュアルアートになるのか、お宝の箱の作品。1935年から41年か、この時代にこんなセンス良いことをやってのけるところに、嫉妬しかないわ。三枚目のメールアートも、可愛いじゃろ。
2018年12月5日

マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による』1935 - 1941年、1963 - 1965年(内容)。シリーズF、1966年版


1915年 "The"

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デュシャン展:エロスがどうのこうの、テーマにあるそうだが、正直この人の作品からエロスの追求なんかどうでも良い感じはする(ぉい と言いつつ、私も次回テーマ、デュシャンみたいな捻り方してしまいそうで、引きずられないよう、しっかり考えないといけない
2018年12月5日



ピエール・ボナール展 (2018年11月 国立新美術館

bonnard2018.exhn.jp

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ボナール展:「ボナールって確か好きじゃないタイプの絵描きだった」という曖昧な区分だけがずっとあって、もしかして食わず嫌いだったかもしれないから観てみることにした。果たして、半分見込違い、半分自分の記憶は合ってた。作者の詳しい履歴は全く知らないが、1990年頃より前と後とで、作品が違う
2018年12月5日

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ボナール展:ボナールは1867年生まれで1990年頃だとまだ若者。1888年ナビ派という画家のグループが現れボナールはその代表的な画家、セザンヌなどを尊敬してたと。ふむほむ、この時代のモダニズム画家は、あまり好きなのがいなくてナビ派というグループについては今、ウィキペディアを参照したが
2018年12月5日

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ボナール展:セザンヌへの憧れらしきものがボナールの絵に表れてから、それまでの絵にあった幸福感が見られなくなっていった。私にとっては、ボナールによるモダニズム絵画としての試みは退屈で、基本的にアーティストとしては特異な人でもなかったのに、背伸びしてるように思えた。
2018年12月5日

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ボナール展:若い時代の彼の作品の良さは、対象に対する個人的な細やかな情や愛がにじみ出ているところにあった。多分、それほど腕の立つタイプの絵描きではないし、セザンヌデュシャンのように目から鼻へ抜けるようなセンスもないし、異彩を放つ人ではなく
2018年12月5日

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ボナール展:本来は、日常の細やかなことや幸福感によってしみじみとくる絵を描いていたタイプではなかったのかと。そういう意味では私の中ではどこか藤田嗣治に通じるものがある。この自分の妹を描いた絵なんかは本当に、良い絵だった。ブラウスのいかにも愛らしいローズ色、藤田も好んだ色だったな
2018年12月5日

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ボナール展:ローズ色と白色の対比が美しいブラウスの描写。スカートの赤と背景の緑が暖かい。人物描写も良い。特に顔や手の描き方に対象への愛がこもってる。生成色の下地を活かした柔らかなタッチ。絵の幸福感が微笑ましい
2018年12月5日

上:1892年『格子柄のブラウス』 下:1890年『アンドレ・ボナール嬢の肖像、画家の妹』

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ボナール展:画家本人と恋人との事後を描いた絵。人体のデッサンの未熟さが目につく。背景の壁が暗いワイン色で、そのワイン色を肌の影として活かし人物を浮き立たせて描こうとしているが上手くない。しかし、格子柄のクロスとその上に乗った仔猫2匹の後ろ姿を置いた、左下部分は素晴らしく成功してる
2018年12月5日

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ボナール展:この恋人との自画像、左下隅なんかは、フェルメールのいわゆる「光の粒」を彷彿とするようなこころみをあいてあって、それが美しく描かれている。少し差し色でサーモンピンクを置いてるのもちゃんと効いてる
2018年12月5日

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ボナール展:1893年の小品。単純化したシルエット的な人物造形だが、温かい柔らかなタッチで、少女の可憐さがよく表現されている。先程の3点もそうだが、画家が楽しんで描いてるというのが伝わってくる。絵の具を塗るのが楽しい、自分が愛おしいものを形づくるのが楽しい。
2018年12月5日

1893年『黒いストッキングの少女』

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ボナール展:1891年から97年までのグラフィックデザイナーとしての仕事の展示もあったが、人物のデフォルメの下手さが目につく。構成もさほど変わったところもなく
2018年12月5日

上:1894年リトグラフ"La Revue Blanche " 下:1891年リトグラフ”France - Champagne"

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ボナール展:1907年から1935年までの水浴する裸婦像のシリーズが一室で集められていた。ここに至るとセザンヌからの感化は見てとれるが、画面には、かつてあった絵の具へのフェティッシュがもう無い。裸婦といってもあまりに変哲の無さで私にはもう、どの絵が掛かってたんだか、印象に残ってない。
2018年12月5日

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こういうのは実物の画面を見ないと、画像では確認できることでは無いんで
2018年12月5日

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ボナール展:あ、そうだ、ポスターにあった丸テーブルに人物と猫の絵とか、1905年から43年にかけての家庭内の日常を描いた作品群も、なんかパッとしない。一つに、絵の具へのフェティッシュが無いからだろなあと思ったりする。絵画としての見所が無いというか。元々巧い絵描きでもないからなあ
2018年12月5日

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ボナール展:風景も同じく、どの絵だったかもうよう分からん。記憶に残ってない。
この時の新美術館特別展は、記憶に残らない絵頂上決戦をやってたのだろうか?
2018年12月5日



東山魁夷展 (2018年11月 国立新美術館

bijutsutecho.com

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先ず東山魁夷展感想から。すごく有名なのに自分の中で印象がまるで無い、つまりこんなに記憶に残らない画家だったのかと今回改めて気付かされた。私の脳内では「何で評価されてるのかよく分からないアーティストランキング」というのがあって、新たに彼の名が刻印された。
2018年12月4日

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東山魁夷:遠くから見ても近づいて見てもなんの工夫も見えてこないのが特徴のような風景画。といってオーソドックスというではないし、とにかく愚直に描いてるんだ、に尽きる。愚直って、私にとってはただの批判用語
2018年12月4日

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東山魁夷展:殆どのミュージアムが休館日の月曜日に東京にいたから入って観ただけで、そうでなかったら一生観ることもない機会、といえる。ただ、一点良いなと思ったのが、代表作の唐招提寺障壁画。
2018年12月4日

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東山魁夷唐招提寺障壁画、鑑真和上にちなんだ風景画になっている。鑑真が布教のため海を渡って唐から日本に渡って来たが、何度も渡航に失敗して船が沈み、仲間も殉職し、自身は失明までしたのは、皆さん学校で習ったでしょう。
絵の描き方としては素直で特に特徴的なものはない。全体の構成は的確。
2018年12月4日

1975年 唐招提寺御影堂障壁画『濤声』

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東山魁夷:鑑真ら渡来僧の布教のための営為、東アジア初期の仏教の戒律への厳格さ、そういった背景がちゃんと絵画になってる。描く意味さえ与えられたら、こんなに良い作品が描けるのだ、ということ。誰かが「その絵」を描くことにちゃんと由縁があることの良さがこう端的に出た作品も、珍しいのでは。
2018年12月4日

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東山魁夷:鑑真に由来する作品を唐招提寺の障壁画としてオファーされる、美術としてはこれ以上ないサイトスペシフィックで、的確で極シンプルな構成で、素朴な絵描きが仕事をして、結果的に成功しているというこの状況。これを観られただけで、入って良かった展覧会であった。
2018年12月4日

 
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可愛いは作れるのと同じように、作品を作る由縁も努力したら作れるの
2018年12月4日

ほんま。



平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風 複製展示(2018年11月 東京国立博物館

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東博で、大英博物館所蔵の平家物語合戦図屏風の複製の展示があった。そうとは知らずに入ったが、ガラス無し、近くに寄って細かい描写を観られるためことのほかこの良かった。オリジナルをスキャンしてデジタルデータにして、その上に金箔を施している。今の高精度のインクジェット印刷は侮れんからなあ
2018年12月5日

画像をクリックすると、キャプションの字が読める大きさが表示されます

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東博:この合戦図屏風、構成も細部の造形も素晴らしい名品だが人物も騎馬も小さく描き込まれているため、オリジナルの展示だとあまり近寄って観ることは叶わないから細部は視えないわけで、この複製による展示は意義深いと思う。照明は行灯のように温白色で下から照らし、時々明るさを落とすという演出
2018年12月5日

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東博:ま、ぐっと近寄るとこれは印刷だなというのはわかる、絵描きならば。東博GJって、アンケート用紙には書いて出しといた。
2018年12月5日

 キャプション見たら分かるのだが、屏風をスキャンしてデジタルデータにして高精細出力後、箔工芸の職人さんによって金箔をほどこしてある。かなり近くで観なければ、全く遜色がない出来栄えだった。こうした文化財障壁画の高精度のダミー展示は、京都の寺院でも行われていて、景観に遜色が無ければ全く問題ないと思うし、むしろ拝観者も多くなった今、我々も安心出来るので賛成だ。

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今回は以上で。ではでは。

画家の私がクラウドファンドを利用して「もっとこうすればよかった」点など振り返ってみる 〜 個展『二月革命』を終えて その2

前回、自分の個展『二月革命』はいかによく出来たてかを総括?する記事でしたがw、今回は個展開催資金のためにクラウドファンド「MotionGallery」を利用して、実際何をしなくてはいけなかったか、何にどれくらい時間を要したか、他気付いた点、「もっとこうすれば良かった」と思った点など、書き出していこうと思います。
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motion-gallery.net

クラウドファンドとは:ごく平板に言えば、不特定多数の人から寄付を集めて、ふるさと納税のように特典や返礼品を寄付者に送るシステム。私は美術の個展に対する寄付だったので「絵を買ってもらう」という形をとりました。

Wikipedia「クラウドファンディング」より「不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる」

芸術への助成金制度に申請しようとしていたけれど。


美術への助成に申請する事前に、作品発表をする会場と日程を決めて、契約を済ませておかないといけない

当初は、企業の芸術支援として設けてる助成金制度に申請することを考えていました。美術分野では年に数件、いくつかの企業や自治体が助成を行なっています。件数は数える程なので、タイミングの問題があります。美術分野については多くは、作品発表開催に対する資金援助、という形をとっています。「助成の対象となる事業の実施期間」が2年くらい以内に規定されていては、申請前に、会場(ギャラリー)と開催日程を抑えて、そことの契約が確定したものとして、会場と具体的な日程を書かなければなりません。なので、一番最初にすべきことは会場探しですね。

こちら側の進捗予定と、助成の対象になる決まった期間とのタイミングが合わないかもしれない

私のように、制作だけで2年以上に亘る作家だと、タイミングをうまく図らないといけませんね。制作の進捗がある程度進んだところで申請に乗り出すことになりますね。個展開催ではなく、制作期間への助成を設けてるところもわずかにあり、こちらの方が私には有り難いのですが、私の知る範囲では美術に対しては少ないかと。

推薦者を立てないといけないところもある

美術への助成全てではありませんが、営利関係にある人以外で推薦者を立てて、一筆お願いしないといけないところもあります。

基本、助成申請者には、そこそこ新しいコンピュータ(orタブレット)環境や作業スキルがあることが不文律に求められてるかと思われ。

これが結構地味にハードルになってきます。応募の企画書を作るのにExcelを指定されてあったり。

審査に通っても必ずしも最大額で貰えるわけではない

1件最大100万円までと募集にあって当選したら100万円貰えるわけではないと。しかし、助成とクラウドファンドの違いの一つに、クラウドファンドは自分による広報が不十分だと支援金ゼロの可能性もあるけど、助成は審査が通れば運営が試算した金額は貰える、というところはあります。


 私の場合、制作の途中で自分の病気があり、それに伴う家庭内の問題を抱えて1年以上気を取られてまして、気がつけば貯金残高の心配をしなくてはならないようになり、今回の個展は助成を申請しようと思い立ったのが2017年9月。11月にはギャラリーを決めて、日程が確定したのが2017年12月。考えていた企業助成の申請締切日が11月末だったので、ダメ元で日程は空白で書いて出しましたが、やはり落選。それを見送ってしまうと、他の助成でも対象となる「事業の実施期間」が更に翌年などにずれ込んでしまう。そこで個展実施を助成のために延期するより、クラウドファンドに頼ってみることにしました。

クラウドファンドMotionGalleryを選択した理由

2018年のゴールデンウィーク前まではまだ助成を考えてたのですが、前回個展からのブランクをこれ以上ひと月でも空けるのはよくないと思い、諦めました。2018年9月末からの開催は、自分で許容できるギリギリだと思ったのです。
MotionGalleryに決めたのは、


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  • 他者のエントリーで問題のある変な企画は見当たらなかったことと
  • 美術では過去のエントリー企画に、横トリ出展の企画や知ってるアーティストさんの名前があったから(ブランド信用みたいなもの)
  • エントリーの事前に審査が設けられてあったから


エントリーする前に、具体的なプランを書いて提出し、その審査に1週間はかかるかもしれない

予め審査があるというのは、そのシステムを利用する側にとっても信頼の担保ですから、ある方が望ましい。過去にいくつかクラウドファンドに出した企画でネット炎上した事件もあり、そういう企画を通してしまった運営のところでは、自分の大事な企画を載せるわけにはいきません。

クラウドファンドのエントリーも、そこそこ新しいコンピュータ環境や作業スキルが無いと困難かも。

 申し込みの時点で、ウェブ上のフォームで具体的なプランを書いて提出するようになっていました。私の場合はデザイン科出身でこうした作業に慣れてたからか、提出した日に審査が通った通知が来ました。1週間はこの時点でやり取りすることもあるかと思います。
次にウェブ上に自分のエントリーページを作らないといけないのですが、この作業に私も3週間かかりました。このエントリーページも審査がかかります。3週間かかった理由として、「リターン品」の用意に先ず手間がかかりました。それと、途中5日間親の入院がありどうしても手が止まったのもあります。また、出来ればPR動画を作るようにも促され、慣れない動画制作をしたからというのもあります。基金を利用するわけですから、動画で居住まいを正して自分で説明するのは、確かにやるしかないと思いました。

クラウドファンドのリターン品用意の大関

助成がダメならクラウドファンドを利用しようと思い立ったのは、手元に数年前描き溜めた四つ切りサイズの人物デッサン画が沢山あるからこれを利用すれば良い!と考えたからなんですが、後に、これを「リターン品」として扱うには、なかなか厄介であることにだんだん気がついていきます。ちなみに、リターン商品は申請の際に何が出せるのかある程度リストアップ出来てなくてはいけません。
yow.hatenadiary.jp
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リターン品は小さめの商品が吉

 厄介というのは、品の大きさの問題です。先ず、MotionGalleryではリターン品を渡すのに郵送着払いは不可であると規定されていました。つまり、送料と梱包材込みの値段設定をしなければなりません。四つ切りという紙の規格(545 mm × 395 mm)に描いた作品を折れないように届けるには、サイズが嵩張るのです。


エントリーの際、説明として作成した図
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 折れないようにする梱包材を含めると配送での「120サイズ」になります。当初デッサンだから2000円くらいで良い、2000円なら気軽に買ってくれる人が沢山あるだろう、と見込んで見切り発車したのですが、配送料と梱包材のお金で、2000円ではプラマイゼロとなってしまう。結局4000円の値をつけざるを得ず。しかも、四つ切りというのは日本の住宅事情を鑑みれば、気軽に飾ろうという大きさでもないんですよぬ…
 私は普段から個展出品するような作品しか作っておらず、気軽に描いた小品というのは実に数少なくて、しかも安い値段設定が出来るものがデッサン意外に無い… 薄い本とかクリアファイルなど複製物を改めて製作する時間の余裕も無い… さあ困った。こんなことなら、小さいサイズの版画をやっておけばよかった。こんな後悔が湧いてきました。
 ということで、以前お願いしたことのある印刷会社に、高精度の複製を作っていただくことにしました。なかなか、普通のオフセット印刷は大抵100部単位で注文受付ですから、印刷コストがペイ出来るほど枚数捌けないかもしれない、という勘定があって、オフセットではなく、個人的なお願いで小ロットでやってもらえる高精度印刷で製作して、一部3000円という値段設定でなんとか、損を出さないようにするしかありませんでした。
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 ご自分の生活費の中から支援に連なっていただいた方々の心意気が、もう本当にありがたかったです。

出す商品の時間と手間と材料費のコストバランス

 基金と言っても、ふつうにCreemaやEtseyなど手作りサイトに出品するのと同じくらい、商品に気も使って、かつコストバランス考えないといけません。運営からは「ボリュームゾーンは3000円から1万円の間なので、ここの種類か数が多い方が良い」とアドバイスはされてました。沢山製造して安く値段つけられる小品の版画や複製物の用意するのが一番得策かと思いましたね。郵送を考えて、定型郵便物サイズとかメール便サイズとか念頭に。リターン品の準備期間、商品開発期間がエントリーする前に要る。人によってはそれだけで1ヶ月とか長くみておかないといけないかもしれません。


 あと、これはわたし的には1人でやるには勇気が要ったのでしませんでしたが、他のエントリーでは、食事会などの招待をリターン品とする企画もありました。あと、折り畳み傘やクリアファイルを印刷屋さんに発注製作してリターンで出してる人もありましたね、日用品は比較的買われ易いんじゃないかと思います。

PR動画制作の関門

 最近は動画投稿し慣れてる人も増えてるでしょうけど、ほとんどしたことがない私には、先ずデスクトップで編集出来ることにこだわったため、ウェブ上で編集出来るサービスを探し、Clipchampというウェブサービスに行き着きました。*1 どの動画編集を使えば良いか選考するだけで丸1日潰れたりしました。
基金ということなんで、きちんと居住まい正して話した方が良いだろうと考えて、台本を作り、長過ぎないように推敲し、台本を読み上げる練習を何回もし、声を録音しての滑舌のチェックし、3ヶ月髪切ってなかったから美容院へも行き。
声はなるべくハッキリ録れた方が良いので念のためスマホではなく、一眼レフの録画機能で撮りました。動画見て下さる方で消音で観たり聴覚の弱い方もいるかということで、自分の喋りを字幕で起こして入れる必要があります。字幕が入れられるのとフェイドインの効果が出来る動画編集という条件で探して、Clipchampをたしか数百円の課金で利用。
撮影は、失敗もあったので2日要しました。編集では、説明図を制作込みで3日くらいか。なんだかんだで1週間はかかるということですか、動画制作してる時に親が軽度の肺炎で入院したため、途中で作業中断せざるを得ず。
ようやく動画をアップ出来てエントリーページを審査に出し、2、3運営から注文があって修正をし、審査通過、やっとエントリーページの公開へ。


 クラウドファンドを申請するために企画を書き出したのが5月23日、そこからエントリーページが実際に公開されたのが6月21日の夜。ほぼ1ヶ月近くかかってます。この間の仕事量としては正直「多いな」と思いました。エントリーにはこぎつけず脱落する人も相当いるだろうことは想像つきました。

支援を募る関門

 支援募集期間は6月21日から10月5日まで105日間を設定。ちなみに個展は9月22日から10月6日まででした。この105日間、ほぼ自力で広報をしていかないといけません。よほど目立って伸びるエントリー企画でない限り、MotionGallery運営にそんなに度々の広報してもらうことは期待出来ません。私と同時期のエントリーで目立ってた企画というのは下の2件。
motion-gallery.net
motion-gallery.net
 この短編映画製作の方は、MotionGallery運営史上一番支援金額を集めたようです。それでも、一般に映画製作にかかる資金としては多分まだ足りないような気もするけど。

SNSでの広報活動

 私は、大学の専攻が広告デザインではあったけど、それでも自分の広報活動なんてやらずに済むならやりたくなくて腰が引けてしょうがないのが本心でしたが、Twitterヘビーユーザー暦11年、はてなユーザー暦17年のSNSを生かしてなんとかやりました。内心は腰が引けてても気持ちを奮い立たせて、毎日手を替え品を替え、クラウドファンドの広報し続けるしかありません。幸い、Twitterは「スレッド」の機能が昨年12月から出来ていて、スレッド機能によってクドクド同じ文言のツイートを繰り返さずに済みました。宣伝ツイートを見飽きられないようにする工夫としては、例えば

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お返し品は、アートの場合、絵だけでは多分あかんなあと今は思う。他所の人のエントリー見たら、折りたたみ傘を作ってる人もいて、単価いくらするんかな?て感じだが、傘でなくても、付箋紙とかマウスパッド等日用品も製作して出品すべき。もうそんな発注してる時間が無いのでこのままやるしかないけど
15:33 - 2018年7月3日

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日用品は1点でも用意しといた方が、ほんま良いと思います。 15:50 - 2018年7月3日

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スレッドをたどりますと、今後クラウドファンド検討する作家さんの参考になるかとも思います。個展開催期日などにギリギリにエントリーすると、お返し品の用意が大変ですよ。あとお返し品改めて作るなら、サイズは小さく作るのが吉。運送費の問題が! 20:53 - 2018年7月3日


というように、他の方の何かの参考になるような経験談を入れていくとか、


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今描いてるこれですが、これもロシアの有名な絵画からのオマージュです。スリコフという画家の大作『モロゾーワ夫人の逮捕』。子供の時日本でのトレチャコフ美術館展で小さ目の習作で観たんですが、この絵画によって思想や信条で逮捕される政治の怖さというのを初めて学んだ、私には思い出深い絵です。 21:06 - 2018年7月5日


と、途中経過の作品写真やテーマの背景についてを書いたり


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描きながら次回の構想のことを考えてます。性風俗と法秩序的なことがテーマになりますが、アウトローに関する社会学の本も視野に。二月革命では調べるのに日数かけ過ぎたので、今度はなるべく専門家に礼金払って教えてもらうようにしたいと考えてますが、目標額オーバー or 助成金とれますように。  21:20 - 2018年8月1日


と次回の構想も決めてなんとか興味持っていただけるようにしてきました。
 あとは、何人かの方に予めクラウドファンドのTwitter宣伝の協力をお願いしていました。

募集期間の日程はよく考えないといけない

MotionGalleryでは募集終了日は、個展なり公演の終了後の設定は出来ない規定になっていました。なので準備・制作をしながら、クラウドファンディングを運営していかないといけません。
支援金はいつ貰えるか、確認して、場合によってはそこから逆算して支援募集期間を考えないといけません。募集終了後にすぐ振り込まれるわけではないのです。私の時は8週間後でした。この間に、リターンの実行を遂行しないといけません。
それと、手数料の問題。集まった支援金から何割手数料が引かれるか、確認した方がいいですね。MotionGallery の場合、目標額に達さなかった場合に手数料が発生するという規定になっていました。


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以上で、参考になりましたら幸いです。

*1:2018年6月はまだ、Mac OS10.11でこのウェブサービス使えたのに、10月後半にもう一作動画を作るためにアクセスしたら、使えなくなっていました。10.11って確か昨年にアップデートしたOSだったような。8年前に買った高価なソフトを使い続けるために最新版に替えるわけにはいかず。f:id:YOW:20181208012251p:plain

個展『二月革命』を終えて -その1

小倉涌展 Yow Ogura LOWER AKIHABARA.|Exhibition 2018 展覧会情報|
小倉涌 歴史画シリーズ第二弾 個展『二月革命
LOWER AKIHABARA.
2018年9月22日〜10月6日

 個展を終えて早1ヶ月と少し経ってしまいましたが、この間、クラウドファンドのお返し品の発送作業があったり、事務的な用事があったり、色々とタスクがありまして、作品サイトへの作品画像のアップも一昨日やっと済んだというあんばい。次回のシリーズの話をあちこちでしてきたので、個展終えてすぐ、協力してくださる方と会って話したりメールのやり取りをしたりということも。作品サイトへの更新、ステートメント等の英文版はもう、日程がアレなので翻訳家に依頼して作ってもらいました。今回の記事では、重複になりますが、作品サイトやポートフォリオに出したステートメントを掲載していきます。で、次回、他の作家さんの参考になればということで、クラウドファンドを利用してどうだったか経験談を書こうかと思っております。

 全体の総括としては、絵画という体裁でこれだけやろうとすればやれることをキッチリ示せて、成功したと思います。個展前にグリーンバーグ批判書いてみたり、藤田嗣治戦争画について調べてみたことも、今後も歴史画やっていく上でやっておいて良かったなと。

二月革命』シリーズ全体のステートメント

久々の個展ではしゃぐ作者
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 構想段階で、ソヴィエト政治史の第一人者・下斗米伸夫の本に先ずあたっていたが、2013年頃からロシア正教の異端である「古儀式派(分離派とも)」とソヴィエト初期の関わりについて、氏は着目して著作を出していた。それを読むにつれ、子供の頃から親しんできたロシアの近代絵画、ドストエフスキーといった芸術のテーマの根底に、正教会と古儀式派の対立の歴史や、古儀式派のネットワークの存在が描かれているものが少なくないことを知るようになった。「宗教は阿片」という言葉に代表されるように、マルクス主義やソヴィエト評議会は無神論であるとのイメージがあるが、革命前夜から初期には古儀式派のネットワークが活動を支え、影響を与えていたことを下斗米は文書や議事録の存在から示している。現在ロシア政府は正教会に親和的で、宗教と革命政治の関連に着目することで、現代の混乱状況も作品テーマの射程に入れられると考えた。
 かつての宗教ネットワークとロシア革命の関係は、今後、日本の各分野でも注目が高まるだろうと考えられる。

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図説 ソ連の歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 ソ連の歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

神と革命: ロシア革命の知られざる真実 (筑摩選書)

神と革命: ロシア革命の知られざる真実 (筑摩選書)

 構想練るのに、日本語の文章だけ探してたんですが今更ながらそれが非常に悪かった笑。というのは、ロシア正教やロシアメシアニズム、汎スラヴ主義についての書籍はがほとんど無いようで、本探すだけで随分時間をロスした感。こんなに馴染みも無いのに今回のテーマで宗教の部分に焦点を当てるかどうか、調べつつ随分長いこと迷いました。とりあえず縛りとして、マルクスレーニンなどのアイコンは使わない、赤旗は使わない、といった分かりやすい表象を排除することを自分に課してまして、こういう楽なことをするとオリエンタリズムに流れかねないという考えからなのですが。で、なんでテーマを二月革命にしたかというと、前回のマッカーサーシリーズが八月革命だったから、という人との会話上のただの冗談から始まったこの企画。ロシアクラスタでもないし、ソヴィエト史に詳しいわけでもなく、しかし帝政末期ロシアの近代絵画については、子供の頃から美術館に連れられ観て感銘受けてきたし、またエイゼンシュテインの映画は美大生の基礎教養でもありまして、近代ロシアの芸術を取っ掛かりにすることにしました。宗教的側面はですね、一応正教についての本何冊かと、メシアニズムに関する本、下斗米さんの本は読んだけど、あとはもう、見切り発車ですはい。読んでも読んでもキリが無く「よく分からない」としか(ぉぃ

ロシア思想史―メシアニズムの系譜

ロシア思想史―メシアニズムの系譜

『皆殺しの天使』

『皆殺しの天使』2015年 F30号 パネルにキャンバス、テンペラと油彩の混合技法

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 ストリートの悪童たちが黙示録の天使となって、新たな政体の始まりを告げている。暴力と騒乱の時代の到来である。
 背景のイコンは、ロシアの画僧アンドレイ・ルブリョフが描いたものをモチーフにした。
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 この作品をシリーズ全体の導入の作品と位置づけ。天使の足元にはニガヨモギ。黙示録で「ニガヨモギ」としたのはどうやら誤訳だったようですが、ま、描く前にそれは知ってたけど、とりあえず登場させることに。モチーフにするためにニガヨモギは輸入の種を買いましてね、家でせっせと育てたもんですよ。



 こうしてこの作品は、アブサンの思い出に回収されていくのだった…

モダニストの船』

モダニストの船』2018年 F100号 パネルにキャンバス、テンペラと油彩の混合技法

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 1922年8月から9月、レーニンは大学の人文学者など、大量の知識人を国外追放するという粛清を行った。これはのちに人々に「哲学の船」と称され、現在もヨーロッパでは言論の自由などに対する抑圧の問題に際しては「哲学の船か!」と反論するそうである。この作品では、ヨーロッパツアー中に革命が起きてそのまま母国外に流れることになったバレエリュスと、ヨーロッパに渡ってキャバレーを開いたロシア移民を題材に描いている。自由主義の芸術家たちを乗せた船、とも考える。それを「モダニストの船」としたのは、ここで描かれた『春の祭典』がまさにその典型だが、当時のモダニズムアートがModernという先進性を志向すると同時に、野蛮さへの回帰(による解放)という相反したテーマを好み、享楽的であればこそ自由と謳う。

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 ここで描いたのは、ニジンスキー振り付けによる前衛バレエの先駆けである『春の祭典』ですね。マリインスキー・バレエ団の舞台DVDを参考にしました。

 2009年かな、BBCが製作したドラマで、1913年『春の祭典』初演時にいかに客席から野次られたかを描いた『Riot At The Rite』というのがありまして、こちらも観ました。

Rite of Spring. THE RIOTOUS PREMIERE! (from the film "Riot at the Rite" part-2)
 まあニジンスキーといえば、山岸涼子さんが昔漫画作品を描いており、私は少女時代にそれで学んでいたんですよね。 春の祭典発表当時は、ディアギレフの伝記『ディアギレフ―― 芸術に捧げた生涯』によると、舞台照明で上からのスポットライトを導入した劇場が現れだした頃で、一方昔ながらの下からの舞台照明のみの劇場もまだ残っていたそうで、ドガの踊り子シリーズを想起してもらうと良いかと。
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 なので、この作品も、下からの照明があたっている状況に描いてます。
 粛清事件としての「哲学の舟」は大学教員や人文学者といったインテリゲンチャーが対象ということだけど、それに含めて良いのか、哲学の舟の少し前にカンディンスキーなどの芸術家が国外亡命してますね。ディアギレフらバレエリュスの場合は、ヨーロッパ公演で回ってる間に革命が起きて、帰国しそびれた、という感じだったようです。つまり、実力行使で国を追放されたというのではない感じ。

『阿呆女の舟』

「阿呆女の舟』2018年、F100号 パネルにキャンバス、テンペラと油彩の混合技法
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 西洋の寓意画で「愚者の舟」あるいは「阿呆舟」という題材があり、古くから様々な画家によって描かれてきたが、阿呆女の舟もその亜種の一つで、そもそもは享楽的な女性を戒めるような題材であるが、ここでは帝位を追われて最後は銃殺されてしまったロマノフのアレクサンドラ皇后と皇女たち(女子の格好で育てられた皇太子を含む)と、トルストイの、激しい恋よりも信仰と博愛による幸福を描いた小説『アンナ・カレーニナ』のヒロインが乗っている。舟はケシ畑に浮かんでいて、アレクサンドラのカルトへの没入がロマノフ王朝の没落を招く要因の一つだったことを表す。皇女たちは亡命先を求め、電話交換機に向かってる。彼女らの頭上で、各国の旅券スタンプがアウレオラとして輝いている。第三インターナショナル記念塔が鳥籠のように彼女らを覆っている。
 トルストイは生前から宗教観でも人々に影響を与えていて、理想的なコミュニティを目指す「トルストイ主義」として知られていた。トルストイ主義はロシア革命初期は多くの活動家にも受け入れられていたのと、のちにガンジーにも影響を与え、非暴力主義の抵抗運動へと至った。そこでこの作品でのアンナ・カレーニナは、南アジア系の人物として描いた。

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 トルストイ主義というのも、それが理想としたのが聖フランチェスコという西洋美術史上でも人気のある聖人、というとっかかりがあったので。
 ケシというか園芸種のポピーは、種から育てたけど、日本の温暖で雨の多い気候には馴染まないらしく、高原とかでないと難しいっぽいです。外来種の野生はよく生えてるけど、鉢に移植してもすぐ萎れて、移植は出来ないみたいです。結局、造花を買ったのと、写真資料で描き上げました。

『ODESSA』

『ODESSA』2018年 320cm×130.3cm(F100号×2)、パネルにキャンバス、テンペラと油彩の混合技法

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 エイゼンシュテインの映画『戦艦ポチョムキン』で描かれたオデッサ階段の虐殺は、実際には史実ではない。しかし2014年春、ウクライナ市民の間で親ロシア派と反ロシア派・ウクライナナショナリストの市民間で凄惨な内紛が起こった場所がまた、オデッサだった。私は、ちょうど二月革命シリーズを構想していた最中でそのニュースを追っていた。この絵では、映画と同じように人々が政治の実力行使から逃れるようでもあり、略奪も行われている。階段の先には戦艦ポチョムキンが主砲をこちらへ向けつつ控えているが、艦上は「動物農場」になっている。大群のネズミは感染のメタファーである。
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  オデッサ階段落ちのオマージュ作品というと欧米では割によくある、らしい、とどなたかのつぶやきを目にして、大作で描く時は、これはまんまやるのでは絶対ダメだな、と。私は映画『アンタッチャブル』くらいしか思いつかなかったりしたけど。乳母車の代わりに、子供の時に日本でのトレチャコフ美術館展で小さい秀作だったけど、観て感銘を受けた『モロゾーワフ人の逮捕』のオマージュにしました。実際は幅5mくらいある大作。
[:500]
 これ、なぜ子供の時に感銘したかというと、思想信条の違いで、逮捕され投獄され、処刑される世界の恐ろしさというのをこの時の美術展で教えられたからです。ほか、レーピンの『革命家の逮捕』『ボルガの舟曳きの農奴』などが来てました。

 そして、ねずみさん。描いたことないものを描く時は色々心配性になるのですが、当初、ペット用のねずみを飼った方が良いかどうか、かなり真剣に考えてたのですが、留守にしてる間世話は任せられるかなどの問題で、実現せず。まあ、馬といった大型動物ではいざ知らず、こうした小動物は資料見てるだけでなんとかなるもんだなあと学習しました。

 で、この作品では階段はエスカレーターに。これは9年前、同人誌『筑波批評』さんの表紙を描いた時に「エスカレーターで」との注文があったのを思い起こして、エスカレーターにするか石畳にするか、小品で試作的にやってみまして、縞が集中線の効果になることに気がつき、大作ではエスカレーターの方を起用。このオデッサ階段は、集中線がより収束していくように見せるため、上面図では扇型になってます。
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『ODESSA』2013年、F6号 パネルにキャンバス、テンペラと油彩の混合技法
『ODESSA』2013年、F4号 パネルにキャンバス、テンペラと油彩の混合技法

『イコン』

『イコン』2015年 P30号、パネルにキャンバス、テンペラと油彩の混合技法
・・・・・・・・・
 幼児キリストは荒野で隠士姿のマグダラのマリアの膝上に乗っている。トルスト派が聖フランチェスコ派のような素朴な生活、あるいは宗教的アナキズムを旨とするコミュニティを理想としたことに基づいてる。足元には説法を聴きに狼や小鳥が集まっている。背景はカジミール・マレーヴィチの「0.10」のインスタレーション、これはロシアの各家庭にあるイコンコーナーを模した作品だった。

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 足元に集まる小鳥や狼は、聖フランチェスコを描いた『小鳥への説法』といった宗教画のお約束事からきてます。
 このように、今回の二月革命シリーズでは、自分が子供時代〜美術科高校時代〜美大と、ずっと慣れ親しんできた西洋美術史の作品群がかなり大きなとっかかりになってまして、次回、性風俗と法の規制というのを大上段のテーマに据えてやっていくことにしてますが、二月革命とはまた違う方向を模索してみよう、とも思ってます。


 それでは、今日はこれにて。