蠅の女王

小倉涌 画家 美術家 アーティスト 歴史画

安保条約内乱条項と、「パト2」荒川氏の売国のこと。 メモ

梅垣先生「国際関係論」2005年11月10日講議より



51年安保条約での大きなポイントとして挙げられた二点

  1. 駐留米軍は日本との事前協議無しに日本の駐留基地から出動して良いというもの
  2. 安保条約 第一条の中の「内乱条項」
    (1950〜57年?)←また調べる
    1. →日本国内の敵性分子による「内乱」に対して、日本政府の許可を得て米軍が出動
      “しても良い”
      (この微妙な)
    2. 日米安保が想定していた"極東有事"とは
        • 朝鮮戦争のような局地戦争、中ソ同盟による「日本はアメリカの走狗である」という位置づけ、台湾海峡危機

▲こういうのは教科書レベルの説明で、以下からが大事。▼


←→日本にとって真に具体的な且つ避けたかった「有事」は、内乱条項で米軍に国内で動かれることだった
(!)

      • 「日本側に内乱を鎮める能力が無いと判断されると途端、内乱条項で米軍が出動」こそが日本政府が想定していた最大の有事
      • 日本の発言力が無い状況で
      • →警察予備隊の発足で自衛能力あることを米側にアピールしておいた
      • 国内の駐留米軍を抑えることが当時の防衛政策の主眼・・・



内乱条項! ということで下の映画のシーンを思い出した。

映画「機動警察パトレイバー2 the Movie」(1993年)より


荒川:
「今回の事態は当初から米軍の厳重な監視下にあったのさ。一時間前に大使館経由で通告があった。明朝七時以降、“状況”が打開の方向に向かわなければ、米軍が直接介入する。現在第七艦隊は全力で西進中、各地の在日米軍基地も出動準備に入った」
後藤隊長:
「そんな無茶を…」
荒川:
「やるさ。国家に真の友人なんていない。連中にとっては願ってもないチャンスだ。そうだろう? この国はもう一度、戦後からやり直す事になるのさ」

 映画について補足すると、二・二六事件を題材に、冷戦後の日本で、自衛隊員や軍需関係者らによる決起集団がクーデター騒ぎ起こすというストーリー。
荒川の「この国はもう一度、戦後からやり直す事になるのさ」という台詞が持ってた背景が、講義の視聴後、今までよりももっとバーンと広がった。
50年前の内乱条項というのを、知らずに観てたのと知った後とでは、荒川という人物の印象度も違う。わたしは、竹中は役者としてあまり好きじゃないので、柘植と比べて注目してこなかったキャラだったけど、今回、改めて「売国奴」という、古くて新鮮な印象が植わった。
戦後からやり直すとは、「占領時代の日本に戻す」ということか。
いち警部補の単独的捜査でいきなり内乱罪容疑はあり得ないだろうから、後藤らが地下鉄駅ホームで荒川を逮捕する時告げた容疑というのは「破防法」だった。
この荒川を、さらに内乱罪でも問おうとすると、やはりアメリカ政府もつつく事になるんだよね?*1
さあ、この場合、どうするんだろうか。興味深い。
何度観ても発見が見出せる映画だ。


参照ページ:安保条約は60年に自動延長

  • 内乱条項外してくれ&期限をきってくれという要求
  • 仮想敵国は明示しないままの「極東の安定を図るため」

http://homepage2.nifty.com/ogawara/lec-4.htmより
1960.6.19 衆議院での議決経ずに自然承認
○米国の日本防衛義務明記→日本は基地提供…相互条約の実現
○内乱条項を削除
○安保問題で日米間協議、戦闘行動、核持ち込み→事前協議
○経済協力提唱

●×お互いに防衛し合う…平等な相互条約
●条約区域から沖縄除外
●事前協議に不透明さ
秘密協定=核搭載艦船の「寄港」(=「通過」)、朝鮮有事の国連軍としての行動→協議不要

http://opinion.nucba.ac.jp/~kamada/H17Kglobal/global17-11.htmlより
1-1. 日米安全保障条約改定 (1960)
旧安保の問題点
防衛義務の片務性
条約の期限が明示されず。
極東について明確な定義されず
極東条項:日本の軍事基地を米軍が極東の平和および安全の維持のために使用できる。
内乱条項
アメリカの事前同意なしに第三国の軍隊の駐兵、演習、通過などの権利を日本は認めない。

*1:念のために一応、安保条約での内乱条項と、日本の刑法の内乱罪とは、別物ということで