蠅の女王

小倉涌 画家 美術家 アーティスト 歴史画

漕いで潜って喧嘩して、ハイクに出かけて虫を見た。

 夏休み、中坊と小坊の甥を連れて、西表島に行った。


 夏休み前に川遊びに連れていったところ、甥1と甥2の遊びっぷりが素晴らしくて、「ダムづくり」では、まるで社会主義の労働者のように情熱的に工事していたのに見惚れたのだった。わたしの遊び相手にちょうど良いと思ったので、「離島のジャングルに行こう」という誘い文句で拉致してきた。


 旅行中は、想定外な甥たちの度重なるヘタレ発言(「うわーーん、シュノーケルの口に砂がついててもうヤだー」「アリがとまったからこの料理食べらんなーい」など)によって、キレることもしばしばだった。
 「そんなスケールでゴチャゴチャ文句たれるようなら、す巻きにして大原港(西表南端にある港)に沈めんぞコラ!」「こっちはネパール行った時、砂混じりでもライスちゃんと食べたワ!」
とすごんでみたが、普段の「一、二、さーーん。ゲラゲラ」とかふざけてる時のノリと思われるだけで、怒声が一向に効かない。


 甥1は中学に上がって、「良く言えば未だ全然おぼこいです。クラス一子供っぽい」と担任に三者面談で言われたんだそうだが、旅行にて、めでたくとうとう中二病発症している事がみてとれた。「ねえ、景色きれーーいね!」とかロマンチックっぽい振りをすると、「そんなん、テレビで見れる」などとムダに憎まれ口で返す。本気でムカついて思わず蹴りを入れてしまったが、成育的に見ればこれはおめでたいのだと納得することにした。わたしの水着を見ても、「ケツケツケツー!」とお尻を振っても特に反応を示さなかったことから、エロ発症の方は甥1・2とも未だらしかった。




 遊びは、ガイドさん頼んで、カヤック漕いだりハイキングしたり素潜ったりした。カヤックは、小坊には無理で、ガイドさんとの二人乗り用のがあるので甥2をお任せしてた。大人でも体力がないとカヤックのコースは少々きついかも。わたしは、なぜか昔から背筋と肩の筋力だけは強いので、特に難なかった。マングローブの森あたりは、午前が満潮だったが、夕方、退潮した方が複雑な根がよく観察できて、山にも丁度夕日があたるので景色良かった。
 素潜りでは珊瑚にぶつかったりして我々の脚は小傷だらけになった。西表島の海浜は、うっさいレゲエとかムダに流したりもせず、のどかで周囲の景観も素朴なのは気に入った。
 森ハイキングは、私らだけでガイドさんの案内によって「関係者以外立ち入り禁止」区域に入らせてもらえた。ここで、西表の綺麗な虫や爬虫類が色々見れて、楽しかったなー。甥1・2も生き物好きで旅中でこのハイキングが一番お気に入りだったかも。「オオジョロウグモ」(http://3710km.com/dairy0508b.htmlの2005.8.25)という日本最大の蜘蛛が見れた。造形的に大変かっこいい蜘蛛だった。トンボが群生で飛んでるところなんて、久しぶりに見れたよ。名前が調べてもよく分からなかったが、信じられないくらい鮮やかなピンク色の胴と翅をしたトンボがいた。蝶の飛んでる種類も多かったー。